泌尿器科いまりクリニックからの
お知らせ・日誌・出来事

(平成 20年度7〜9月)

泌尿器科いまりクリニックに働く職員による、職員のための日誌、研究会報告などです

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伊万里有田地区医師会学術講演会:ビスフォネート製剤 (BP) の有用性と顎骨壊死

平成20年9月26日伊万里市迎賓館で伊万里有田地区医師会学術講演会が、エーザイとの共催でありました。大阪大学歯学研究科、米田俊之教授による特別講演、があり院長と病棟看護師2人が参加し勉強しました。いまりクリニックでは前立腺癌の骨転移に対してビスフォネート製剤を日頃多く使用していますので、大いに参考になりました。以下に要旨を書きます。

ピロリン酸であるビスフォネート製剤の特徴として、全身の骨にまんべんなく選択的に取り込まれ、ハイドロキシアパタイト(ミネラル)に強固に結合し、破骨細胞を壊死させることで働きを抑制する。壊死した破骨細胞はマクロファージに食べられ消滅する。ビスフォネート製剤には窒素を含むものと含まないものがあり、本邦では窒素を含むものが使用されている。ビスフォネート製剤の力価は種類によって1から1万倍の差がある。ゾメタが最強で1万倍以上。ビスフォネート製剤を経口摂取してもそのうち0.7%しか吸収されず、そのうち50%は尿中にすぐ排泄され、血中半減期は1時間。骨以外の臓器では副作用は出ない。ビスフォネート製剤の適応疾患は骨粗鬆症、骨ぺージェット病、癌の骨転移、血管の石灰化、骨形成不全症、インプラント後の骨強化、寿命が伸びることなど。反面顎骨壊死という副作用がある。老人の骨粗鬆症で大腿骨骨折を起こすと痴呆、排尿障害などの多彩な合併症を起こし非常に困る。1型コラーゲン形成障害による子供の骨形成不全症にも有効。臓器移植後の免疫抑制剤による骨量の減少も予防できる。エイズの治療でプロテアーゼ阻害剤を長期に飲むと骨粗鬆症になりやすいがこれもビスフォネート製剤で防げる。癌の骨転移の進展も防げるし、骨痛も減った。乳がんでホルモン剤単独治療よりもビスフォネート製剤を併用したほうが生存率が向上しイベントも減った。

BRONJ ( BP related osteonecrosis of the Jaw 顎骨壊死)は2003年から報告が出現。注射ビスフォネート製剤で100人中1-10人、経口ビスフォネート製剤で10万人中1人の割合。骨転移の患者で多く、女に多く、骨髄腫で多く、上顎よりも下顎で多い、70%は抜歯、義歯不適合、インプラントで起こる。ビスフォネート製剤の投与回数と投与量に相関がある。機序はまだ不明だが、縁者の実験や考察では感染と関係があるようだ。

BRONJの症状としては、痛み、接触痛、しびれ、腫脹、悪臭、排膿。鑑別診断は骨髄炎、骨転移など。造影MRIでは造影剤が入らないのでわかるが、混在も多いので診断が難しい。BRONJの発生と癌の化学療法、ステロイドの使用、喫煙とは関係がないようだ。しかし、喫煙者ではBRONJが出れば治りが悪い。

BRONJがなぜ下顎にほとんどか。radioアイソトープを使用した動物実験ではBPは全身の骨にまんべんなく平等に沈着。下顎の方が代謝活性が多い。口腔内は細菌の巣で、1mlに1000億から1兆の細菌がいる。これは便と同じくらいの数。歯肉縁下に歯垢などによる細菌のバイオフイルムがある。虫歯菌であるS.mutansはBPがあると歯にくっつきやすくなるようだ。BRONJと細菌感染とが関係あるようだ。そこで、抜歯前に口腔を洗浄し歯垢を除去するとBRONJの発生が20%に減った。抜歯前に予防としてアモキシリンを飲むと、50例以上でBRONJの発生が皆無であった。抜歯後は1.5から2カ月で新生骨が完成する。BPは投与中止後1.5から2カ月で骨から消失する。そこで、抜歯前後3から4カ月間はBPを中止しておくとBRONJの予防によい。

第30回佐賀県消化器癌懇話会 :

平成20年9月19日佐賀市マリトピアで開催され、院長が出席し勉強しました。兵庫県立粒子線医療センター、 菱川良夫院長による特別講演:兵庫の粒子線治療、がありました。出席して本当に良かったという講演会で、最新の癌治療について大いに啓蒙されました。以下に要旨を書きます。

粒子線には水素ガスから粒子を取り出す陽子線と、メタンガスから粒子をとり出す炭素線(重粒子線)とがあり、陽子線の方が軽いので装置が比較的扱いやすいが、エネルギの広がりがあり、照射野が少し鈍い。炭素線は重いので装置も大きく扱いにくいが、照射野が鋭い。粒子線を加速器(シンクロトロン、サイクロトロン)で光の速度の6から7割の速さに加速して、癌細胞に打ち込み、癌細胞のDNAをズタズタに破壊することで癌細胞のみを死滅させる。粒子線治療は抗がん剤や放射線治療の代わりというよりも、手術療法の代わりなる治療法。低リスクで、価値の大きい治療。遠方の患者は入院は必要かもしれないが、ベッド上の安静は不要な治療法。まず患者の情報をファックスなどで見て、治療の適応を決める。治療のためにCTとMRIを行い正確な照射部位を決め、プラスチックで固定具を作る。放射線技師、医師とで治療計画を決めるのに簡単な前立腺癌で1時間、複雑な頭頚部癌で1ないし数日かかる。今後は欧米で行われているように医学物理士や加速器技術者などの参加が必要になる。治療費は高度先進医療が適応されれば288万円は出るので残りの100万円前後を医療保険で賄う。1カ所の治療でこの値段。早期で局所の頭頚部癌が良い適応で、上顎癌、眼癌、鼻腔癌などは手術せずに治るので跡が非常にきれい。早期で局所であれば肺癌も治療できる。前立腺癌が照射が簡単で、ホルモン治療を組み合わせた粒子線治療が最善のようだ。前立腺癌にのみ関しては5年生存率は100%だが、実際にはほかの疾患で亡くなっている。前立腺照射の晩期合併症として直腸粘膜の出血があるが、すぐ対処できる。しかし、このために照射前に直腸鏡を行っているが、おまけとして直腸ポリープを見つけることが多い。粒子線治療が消化管に当たるとは穿孔するので、癌と2センチの隙間が必要。隙間を作るためにペッサリーや大網を挿入する。

佐賀県保険医協会講演会:

平成20年9月19日佐賀市アバンセホールで開催され、病棟から看護主任、副主任ら3人が出席し勉強しました。相沢病院褥瘡治療センター、鳥谷部俊一、統括部長による講演:進化を続ける褥瘡のラップ療法、が有りました。

伊万里有田地区医師会学術講演会:肝炎と肝臓癌

平成20年9月17日伊万里市ロイヤルチェスター伊万里にて開催され、院長と職員4人が参加し、大いに勉強しました。世界一肝臓ガンの多い佐賀県で医療に従事している者としては、聞かずに居れない講演でした。以下にその時の要旨を書きます。

佐賀県の肝癌の現況:肝癌はアジアとアフリカに多い、アジアはHCVとHB、アフリカはアフラトキシンによる。日本が世界一肝癌が多く、日本の中でも西日本に多く、佐賀県が最多。つまり佐賀県が世界一肝癌が多い。佐賀県でも佐賀市周辺に多い。佐賀県でHCV陽性の男性は50歳代60歳代ですと10年間で30%以上が死亡しており、これは肝癌のためと予想される。これを阻止することが緊急課題。肝癌予防には、早期発見が必要。肝癌の早期発見のためにはHCV陽性患者を早期に発見して抗ウイルス治療を行う。HCV陽性患者はウイルス量から低、中、高力価群に分かれる。HCVウイルスキャリアの高力価群の治療が必要。現状ではHCV陽性と言われてかかりつけ医を受診しても、10%しか専門医への紹介が無い。HCV陽性患者では無症候でもウイルス量を調べる。TTT、ZTTが高値の場合は慢性炎症が有る。正常者ではASTはATLよりも少ないが、これが逆の場合は正常範囲内でも要注意。ASTはAT正常値でも肝癌患者が居る。HCV陽性患者では肝癌のみでなく他の癌や悪性リンパ腫も多い。まず肝庇護療法を行う。肝庇護療法として強ミノCを使用する場合は少なくとも2アンプル以上、週数回以上を行う。ウルソも同じく毎日6錠以上を服用する。少ない量ではダメ。ATLの目標値は60以下を目指す。

泌尿器科いまりクリニック院内勉強会,9月分:

平成20年9月9日院内待合室で、キョーリン製薬の山内博志氏による講演:感染症対策の基本と器具・器材消毒のポイントがあり、職員一同参加し、勉強しました。その後は希望者でボーリング大会と親睦会が玄海寿司で行われました。ボーリング大会は満員で予約が取れず、今回は親睦会のみでした。

第6回泌尿器外科手術の理論と手技研究会:

平成19年9月6日(土)佐賀市マリトピアにて佐賀地方会の後に開催され泌尿器科いまりクリニックから院長と副院長が参加しました。八戸平和病院泌尿器科、三浦浩康部長による特別講演:f-TULの手技とコツ-1200例の臨床経験から、があり、勉強しました。以下にその要旨を書きます。

尿管結石の治療では、1985年には95%にESWLが行われて、残る5%にTUlが行われていたが、2006年には22%にESWLが行われて、78%にTUlが行われるようになった。器械・手技の進歩による自信や治療期間の短縮のためであろう。手術手順としては、まずRPで尿管にガイドワイヤーを挿入し、硬性尿管鏡を無理せず挿入し、これが入ればこれで摘出、無理であればすぐシースを挿入して、軟性尿管鏡を挿入し、TUL。ファイバーを結石の5-7センチ手前に置くとよく見え操作しやすい。今年からは電子内視鏡の軟性尿管鏡を使用、これが良い。HoYagレーザーの最小出力で砕石。砕石片はバスケットカテーテルで摘出。合併症は尿管の断裂、裂傷、出血、狭搾。無理をしないことが肝腎。尿管鏡が入らない時はDJカテーテルを挿入して1週間すると尿管がまっすぐに広がり、挿入しやすくなるので、2回再手術をしても良いと言う気持ちで手術に臨む。悩ましい症例として:小さい結石でも積極的に行う。珊瑚状結石の下腎杯の結石はバスケットで腎盂に移動させて、砕石する。尿管鏡を丁寧に使用し、消毒は内視鏡が壊れにくい薬液がお勧め。周囲のスタッフに優しくすることも大切。

日本泌尿器科学会第73回佐賀地方会:

平成20年9月6日(土)佐賀市マリトピアにて開催され泌尿器科いまりクリニックから院長と副院長が参加しました。九州大学の諸先輩方と久しぶりにお会いしました。会の後で泌尿器科いとうクリニックの伊東健治院長と中洲泌尿器科医院の中洲肇院長と会食し、多いに盛り上がりました。翌日は佐賀市の大和不動ゴルフクラブで親睦ゴルフ会が行われました。

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泌尿器科いまりクリニック院内勉強会,8月分:

平成20年8月日院内待合室で、院内医療事務職員による講演:後期高齢者医療についての概説、があり、職員一同参加し、勉強しました。

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第20回九州排尿機能セミナー:

平成20年7月26日(土)、福岡市ホテルニューオータニにて開催され、泌尿器科いまりクリニックから院長が参加しました。少し遅れて参加しましたので、ミニレクチャーと特別講演しか聞けませんでした。ミニレクチャーは、九州大学泌尿器科関成人准教授によるOABの基礎知識でした。特別講演は、佐倉病院神経内科の榊原隆次部長による中枢疾患と排尿障害;脳血管障害・パーキンソン病・認知症でした。

特別講演の要旨を次に書きます。

脳血管障害では急性期尿閉になる患者とそうでない患者がいる。運動麻痺の強い患者では排尿障害も強い。排尿障害を起こすのは、前頭葉内側と大脳基底核の病変に見られ、側頭葉と後頭葉の病変では排尿障害は見られない。petで調べると、膀胱に尿が溜まると大脳の帯状回や、脳幹の一部、橋、島に神経活動が見られるので、大脳のそこが排尿・尿意に関係するようだ。

パーキンソン病は徐々に進行するが、最近は治療法がよくなっており、初期ではかなり進行するまで麻痺を遅らせ、日常生活が障害されるのが後期になってから。パーキンソンは大脳だけでなく、末梢や心臓なども障害することが判ってきた。深部脳刺激治療法で膀胱容量が増えたり、ドーパミンを飲むことで膀胱容量が増えたり減ったりすることが判ってきた。後期では運動障害のために機能性尿失禁が増える。

認知症の尿失禁では、治療に使用した抗コリン剤が認知症を増悪させることもあるようだ。脳血管関門を通過しにくい薬や親和性の少ない薬が認知症を増悪させにくい。

その後会場を移って、渡辺通りの暮れ六つ屋で、岩坪先生を囲む会が催され、熊澤名誉教授を筆頭に十数人が出席し、盛会でした。

第5回いまりクリニック調理実習:第一回透析食調理実習 

 平成20年7月20日(日)10:00〜14:00  伊万里市民センター調理実習室において、透析患者と家族を対象にした調理実習を行いました。参加者は当院の透析患者9名とその家族13名で計22名と当院の透析室と厨房のスタッフ8名でした。作った透析食の献立はごはん、あじのマリネ、グリーンアスパラサラダ、きのこのワイン蒸し、すいか、です。はじめて透析食の調理実習を行いました。みなさん自宅でもよく作られているようで、予定してた時間より早くできあがりました。患者さんの家族が集まることは今までにはなく、今回情報交換などできたことがよかったようです。その後アンケートを行ったところ、ほとんどの方がもう一度参加したいと言うことでした。アンケートでもわかるように年に数回、調理実習の希望があるので、少し時間をおいて企画したいと考えています

平成20年6月吉日

患者様各位                   いまりクリニック 院 長 小嶺信一郎

調理実習のご案内

 緑もさらに深い青葉の季節となりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、この度、当院では少しでも皆様の毎日の献立の参考にしていただけるよう透析食の調理実習を下記の通り実施いたします。 参加を希望される方は、下記の申し込み書に記入し、切り取って職員へお渡しください。また、ご要望などあれば記入ください。

  • 日 時  平成20年7月20日(日) 10:00〜14:00
  • 場 所 伊万里市民センター2F 調理実習室 TEL:22―3911

(会場までの地図が必要な方はスタッフまで申し出てください。)

 内 容 透析食調理実習         

  • 材料費 1人 800円(当日受付にてお支払い下さい)
  • 対象者 当院透析患者およびその家族
  • 持参するもの エプロン 筆記用具
  • 締め切り  平成20年6月30日(月)まで    以上     

長光園医療懇談会、平成20年度:

平成20年7月12日(土)佐賀市肢体不自由者養護施設・社会福祉法人長光園 (佐賀市兵庫町:宮崎一哉 園長)の医療懇談会が、佐賀市のホテルニューオータニにて開催され、院長と副院長が出席しました。長光園の嘱託医である塩田病院石崎知樹副院長、佐賀社会保険病院小柳孝太郎医長、古宇田歯科院長、西島皮膚科院長らが参加し盛会でした。 例年のように各自の自己紹介に始まり、田口一樹理事長による挨拶と、宮崎園長による長光園の事業報告のまとめがありました。

泌尿器科いまりクリニック院内勉強会,7月分:

平成20年7月8日院内待合室で、武田薬品の関健太朗氏による講演とビデオ、転倒防止について、があり、職員一同参加し、勉強しました。

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