いまりクリニック院内勉強会、5月分:
平成17年5月24日午後18時から、院内で今月の勉強会として厨房が当番となり、食中毒について講演しました。食中毒について厨房 発表者 古川由香里
私たち厨房は、食事を作る上で日頃衛生面などに特に気をつけています。今回、私たちは食中毒についてまとめてみました。食中毒というと夏の暑い季節を思い浮かべます。というのもサルモネラ、0―157、黄色ブドウ球菌など、細菌による食中毒の多くが夏季に発病し、暑さによる体力の低下と重なると症状も重くなりがちなことから、つい夏だけに目が向かいがちです。ところが秋から冬にかけてもう一つの食中毒ピークがあります。食中毒の発生場所は、学校や仕出し屋などが多いと思われますが、実は飲食店や家庭からの発生が多いようです。このことから、みなさんに事前にアンケートをとり、どれくらい理解されているのか、又、予防策やその特徴についてまとめました。
<アンケート結果>日頃食品を扱う上で気をつけていることは何ですか?という質問では、やはりみなさん手洗いに気をつけているようです。次に消費期限、まな板、包丁の殺菌をされている方も多かったです。逆に、手袋の使用や指輪、時計をはずす方は少ないようですが、十分食中毒の原因になるのでされた方がいいと思います。知っている、又は聞いたことがある食中毒菌はなんですか?という質問では、サルモネラ菌、0―157、ノロウイルスを知っている方が多かったです。保存、掃除について気をつけている事は何ですか?という質問では、食品の長期保存は避ける、が一番多く、次に温かい食品は冷ましてから入れる、タオル、布巾はこまめにかえる、が多かったです。冷蔵庫の温度は気にされている方は少なかったようですが、10℃を超えると菌が増殖しやすくなるので、冷蔵庫の詰めすぎやドアを頻繁に開閉したりすると庫内の温度が上がってしまうので注意しましょう。
<平成15年 月別食中毒発生状況>全国の集計となっています。冬場にも多くの食中毒が発生しています。食中毒は夏場でも多く発生しますが、冬場でも十分発生することがこのグラフからわかると思います。
<平成15年 病因物質別発生件数>
1位 サルモネラ菌・・主として動物の腸内にいるものですが、全ての動物が汚染されているわけではありません。しかし、食肉類卵は常にこの菌に汚染されているという前提で取り扱う事が大切です。成人は下痢にとどまる事が多いようですが、小児や高齢者は全身疾患を起こすことがあります(予防ポイント) *食品の低温管理の徹底*手指の洗浄消毒の徹底*調理器具の洗浄消毒の徹底*未調理品から調理済み食品への二次汚染の防止*食肉、卵は十分に加熱する*卵の消費期限などの表示をチェックする
2位 カンピロバクター・・あらゆる動物の腸管内に存在し、特に鶏の保菌率が高くなっています。4℃以下の低温でも凍結した食肉などではかなり長い間生存します。菌数が少なくても発症するので食品に菌を付けない事が大切です。鶏ささみの刺身、バーベキュー、焼き肉など肉の生食や加熱不足によることが多く霜降り調理に使用した氷水、サラダや井戸水なども原因となります。(予防ポイント) *肉類の生食を避け、食品は中心部まで十分に加する*生肉は肉汁がもれないように密閉し他の食材と別して冷蔵保存する*手指の洗浄消毒の徹底*肉類専用の調理器具を用意し、使用した器具は浄後熱湯消毒し乾燥させる*水の衛生管理*犬、猫、鳥などペットに接触したあとはよく手洗う
3位 小型球形ウイルス・・その中の一つであるノロウイルスは生牡蠣などの貝類による集団食中毒が最も多いが、その他に野菜サラダ、ケーキ、サンドイッチ、和え物などの生ものか、加熱不十分な加工食品からも感染しています。感染経路として生牡蠣などを直接食べる場合の他に、調理従事者などの手を経てウイルスに二次感染された食品を食べた時、また人から人に直接感染する場合もあります。発生時期が11月〜3月の冬期に多く、細菌性食中毒が夏期に多いのと対照的です。(予防ポイント) *手洗いを頻繁にする*貝類の生食は避け加熱は十分にする*給水施設や調理器具の衛生管理の徹底*嘔吐物や排泄物に汚染されたものの処理は厳重にに注意する
★まとめ★★これから食中毒が発生しやすい時期になります。あらためてスタッフ勉強会で食中毒をテーマにあげたことにより、私たちも食品を扱う立場なので勉強になりました。家庭や職場での手洗い、調理器具等の衛生管理の徹底、二次汚染の防止など十分に気をつけて、清潔な環境を保つように努力していかなければならないと思いました。 |