泌尿器科いまりクリニックからの
お知らせ・日誌・出来事

(平成 19年度10〜12月)

泌尿器科いまりクリニックに働く職員による、職員のための日誌、研究会報告などです

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伊万里有田地区医師会学術講演会:気管支喘息の最近の診療

平成19年12月10日伊万里市迎賓館にて開催され、院長と職員が6人参加し、勉強しました。演者は久留米大学呼吸器内科の、川山智隆講師で、演題は気管支喘息の最近の診療でした。以下にその時の要旨を書きます。

喘息患者は気道過敏性があり、少しの風邪や冷たい空気でぜーぜーひゅーひゅー言い、治った喘息の子供は後までも好酸球が多い、これらは肺気腫やタバコ肺と違い可逆性の変化。気導にアレルゲンが入ると(なぜか未だに判らないが)人によっては、炎症、気道過敏症、気道収縮し喘息になる。吸入ステロイドの効果がかなりあり、少量でも発作を抑え、喘息の救急患者が減少した。おかげで以前年間12000人死亡していたが今では3700人に減った。軽度の喘息でも大発作を生じ20%が死亡していたが、少量のステロイドで軽症喘息での発作が抑えられる。

しかし、吸入ステロイドは万能では無く、量を増やしても同じで、患者満足度は少ない。吸入ステロイドは粒子が大きくては口に残り、中くらいで上気道、小さいと下気道に達するが、あまり小さいと排出される。平均直径1ミクロンくらいがよい。

長時間作用性β2刺激薬(LABA)は気管支拡張作用は最強で、吸入ステロイドより強いが、炎症を治さないし、単独では使用しても死亡率は不変で、心血管系の副作用もあり、単独使用はしない。β受容体は粘膜の下にあり、不活性化しているが、ステロイドで活性化し、β2刺激薬が効きやすくなる。長時間作用性β2刺激薬(LABA)とステロイドの合剤もあり、気道過敏性を改善する。Facet Studyでは単独使用したステロイドの量では多くても少なくても効果不変だが、長時間作用性β2刺激薬(LABA)を加えたほうが効果が良かった。

ロイコトルエンも喘息の治療には必要。 (理由は聞きそびれました)以上です。

第40回 九州人工透析研究会 :

平成19年12月2日(日曜日)長崎市ブリックホールと長崎新聞文化ホール(長崎市)で開催され、泌尿器科いまりクリニックから副院長と職員が6人参加しました。 以下にその時の報告があります。

看護師 副島江美子

内容抜粋、感想、考察二次性副甲状腺機能亢進症治療の現状
「透析患者における二次性副甲状腺機能亢進症治療ガイドライン」に照らし合わせて治療の現状を検討された。生命予後に関わるP値を6.0mg/d?以下にするよう指導が行われたがP値が高いのは透析歴が短く、若い患者に多い傾向だった。高P値の患者の患者に対して、栄養指導、服薬指導を行った結果スタッフの積極的介入によりP値の改善がみられた。
当院もP値6,0mg/d?以上の患者にはその都度スタッフが栄養指導を行い、カルタン、レナジェルを服用、飲み方の説明をしている。P値とWtの増加率は関係がありP値上昇が多い患者は体重コントロールも悪いように思える。Caが低くP値が高値の人はi−PTHが高くなる。i−PTHはHD患者の基準値は100〜300、500前後の患者にはオキロールの注射を施行するも、頚部エコーまでは行ってない。上皮小体の大きさを確認し外科的治療が必要かも調べていく必要がある。
しかし それ以前に患者のCa,Pに対しての感心が低く、K値上昇よりもすぐに症状がでるわけではないので患者にとって危機感を感じていないのが現状である。患者自身が自分の検査データーの感心をもち、それに対してHDスタッフも知識をつけ指導ができるように向上しなければならない。

看護師 藤原 勢津子

2006年4月に診療報酬の改訂があり、EPO使用の包括化により、各施設とも腎性貧血の管理に注意を払っています。目標Hb値を10〜11g/dlに保つため、鉄剤を併用しながらEPO使用量を減量されています。また、ネスプ投与に変更後のHb値、Ht値で有意な改善が認められた報告もありました。検査結果を参考にしながら、腎性貧血の管理に努めていきたいと思います。
教育講演  腎移植後のQOL            東邦大学医学部腎臓学教室  相川 厚 教授
透析業務に携わり日々仕事をしていく中で、移植はあまり考えたことがありませんでした。しかし、この講演を聴いて腎移植ってすばらしいと思いました。移植後の正着率は90%を越え、ステロイドの副作用はずいぶんと少なくなり、移植後2週間で退院することも可能になっています。女性では、移植後に妊娠や出産ができるようになっています。小児も移植により第2次性徴に大きく影響します。生存率においても透析より移植後が上回っています。もっと移植について勉強し、情報を患者に提供できるようになりたいと思います。

看護師    氏名 森永留美

今後の職場活用できること :感想 考察 :今回、数年ぶりに研究会に参加した。研究の内容も多様になり短い時間であったが得ることが多くあった。
今年、七月に持続型赤血球造血刺激因子製剤「ネスプ」が保険適応となり当院でも使用している。151名の全患者に対し「エスポー」から「ネスプ」に切り替えた施設もありその結果、副作用の出現も多々あり降圧剤の使用が多くなっているとの報告がなされた。当院でも「ネスプ」を使用しており参考になる研究結果であった。またフットケアーへの取り組みなどの発表も多く、当院でもなされているケアーを継続していく必要性を今回、痛感した。
研究発表に参加し新しい情報を見聞きすることは、自分自身の向上につながる。看護の基礎を踏まえながら進歩する医療で新しい情報を取り入れ看護の質を上げる必要があると思われる。

境裕子

「腎性貧血治療の最近の知見」近年、貧血、腎不全、心不全の間に悪循環が存在する心腎貧血症候群の懸念があり、その為にエリスロポエチン製剤による積極的な貧血治療が行われている。低ヘモグロビン(Hb)値が生命予後を悪化させると言われ、理想はヘモグロビン値10〜11mg/dlと言われ生存率も高くなる。貧血が良くなると心機能が改善し血管系の合併症のリスクが低くなる。保存期よりエリスロポエチン製剤を投与した方が良く、投与することにより心血管合併症の改善につながる。ヘモグロビン濃度とシャント閉塞の関連性について、Hb濃度上昇により発現率が高くなり、注意して対応していかなくてはならない。医療安全の取り組みは、今やどの施設でも欠かせないものとなり、患者、個人、組織など多様な要素を含んだ問題がある。血液疾患やその他の合併症があるため、経験やデータを積み重ねて改善していく必要があり、今後の業務に活かしていきたいと思います。

看護師 吉田和子

2004年に日本透析医学会により 慢性透析患者における腎性貧血治療のガイドラインが発表されEPO療法目標がヘモグロビン値(Hb値10〜11g/dl 及び投与基準が示された 本ガイドラインは鉄欠乏の診断基準をトランスフェリン飽和度(TSAT)20%以下 血清フェリチン濃度100ng/ml 以下と定義し鉄剤の投与法も明記されている。腎性貧血の発表においては 2006年4月の診療報酬の改定に伴い腎性貧血の管理状況の変化につき検討が行われていた。平均ヘモグロビン値 10、76g/dl鉄剤使用することにより貧血改善はする。エリスロポエチン製剤を減らすため鉄剤を使用するとフェリチン増加フェリチン300mg以上で減量または中止。鉄剤は週1回使用がベスト
「教育講演」腎移植後のQOL:腎移植後の生着率は年々改善。移植が成功すると=疲れが少ない 飲水制限がない 時間的拘束がない。仕事勉強が出来る 生存率が高い。女性と腎移植 =肌がきれいになる 貧血の改善 汗をかく かゆみがなくなる 生理が順調になる 女性らしくなる 妊娠 出産ができる。
妊娠許可の条件   移植後1年経過   クレアチニン2,0以下   蛋白尿なし   拒絶反応なし  妊娠中の移植腎   水腎症になりやすい   腎機能低下になる  腎移植患者の出産 =低体重児が多い 2500g以下46% 1500g以下78%            正常38% 早期産68% 今日では腎移植の生存率が透析よりも上回っている。
2006年の診療報酬の改定(エリスロポエチン製剤の包括化)に伴い他の施設でもエリスロポエチン使用についての検討がなされていた。当院でもガイドラインにのってHb値10〜11g Ht30〜33% トランスフェリン飽和度(TSAT20〜50%)血清フェリチン濃度100〜300mgの基準にしている。不要な鉄剤使用は避けるべきとのこと 検査値の充分なチェックを行い 適正かつ安全な投与法を検討していきたいとおもいます。

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第5回佐賀泌尿器科疾患研究会:

平成19年11月15日佐賀市マリトピアにて第一三共(株)と佐賀県泌尿器科懇話会の共催で開催され、院長が参加し勉強しました。産業医科大学医学部泌尿器科、松本哲朗教授による特別講演:「周術期感染予防ガイドライン」があり、大変参考になりました。以下にその要旨の一部を書きます。

平成19年11月院内勉強会:

平成19年11月13日泌尿器科いまりクリニックで院内勉強会がありました。今回は外来のナースが性感染症について講演し、皆で勉強しました。性感染症のうちからクラミジアと淋菌について病因、感染経路、症状、検査法、治療について講義がありました。

テレビフォーラム:のぞいて見ます?フットケア:基本的なテクニックを覚えよう

平成19年11月8日佐賀市中外製薬佐賀営業所(西田徳男、所長)で開催され、院長が出席し勉強しました。長崎市ベストウエスタンプレミアホテル長崎で、皆行会名古屋共立病院、外来治療センターの加納智美講師が実技指導と講演し、それを佐賀営業所のインターネットで拝見しました。フットケアくらいと軽く思っており、判っていたつもりでしたが、実際に講義を受けて初めて、自分がそれほど知らなかったことを納得しました。たいへん有意義な講演でした。以下はその時の要旨です。

フットケアの流れとして、以下のように3つに分けました。
1.足の観察:足の色や温度、脱毛や筋萎縮の有無、足背動脈の脈拍、爪の変型や肥厚と周囲の炎症、タコやウオノメ、虫さされや傷、乾燥やひび割れ、靴ずれなどの有無を診てわずかな徴候を見逃さないこと。

2.必要なら足浴:温浴、炭酸泉浴では炭酸が皮膚から吸収されて血流量を2倍から6.5倍に増やす。ASO重症ほど少ないがそれでも2倍になる。これは思っていたよりも大きな効果があった。

3.フットケア:爪切り、タコ、ウオノメ、白癬の手入れなどの手順と注意点。用意するものは、かすが出るので敷布や紙、自分を埃から守るゴーグル、爪やすりや皮膚やすり、爪切り、メス、爪用ゾンデ、グラインダールーター、

平成19年度在宅緩和ケア従事者研修会:

平成19年11月6日佐賀市県医師会館にて開催され、院長が外来スタッフ3人と出席し、麻薬の使用法について勉強しました。佐賀大学地域包括緩和ケア科の佐藤英俊講師の教育講演がありました。

2007年緩和ケアのための都道府県指導者研修会についての簡単な紹介がありました。緩和ケアは診療の最初から行うことが必要。1986年に発表されたWHO方式がん疼痛治療法について、麻薬の使用法を中心に話された。がんの痛みの段階に応じて、非オピオイド薬、弱オピオイド薬、強オピオイド薬、鎮痛補助剤を使用。非オピオイド薬、弱オピオイド薬、強オピオイド薬、鎮痛補助剤の作用、副作用、使用上の諸注意がありました。

伊万里看護学校講師会議:

平成19年11月1日伊万里医師会立看護学校で開催され、院長が出席しました。准看護科と看護科の生徒の状況と教育実施状況、学業評価について話し合いました。

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佐賀県泌尿器科懇話会:第56回定例総会:

平成19年10月27日佐賀市県医師会館にて開催され、院長が事務係として出席しました。佐賀県下から34人の泌尿器科医と1人の小児科医が参加し勉強しました。

一般演題(16:00〜17:00)座長 南里正晴(南里泌尿器科医院)

1. 尿管結石と判別困難であった腹部石灰化像の一例:金子新、藤山千里、魚住二郎(佐賀大学);小嶺信一郎(泌尿器科いまりクリニック)
2. 急速な進行を呈した膀胱癌の一例:中山幸彦、金子新、藤山千里、魚住二郎(佐賀大学)
3. 突然発生した両腎結石の一例:宮口大志、大庭康司郎、計屋紘信(嬉野医療センター)
4. 尿路結石を契機に発見された原発性上皮小体亢進症の一例:森英恭、小森正嗣、藤崎雅史、中村晃二、安芸雅史、桑原守正、藤崎伸太(藤崎病院);木下徳雄、小嶺信一郎(泌尿器科いまりクリニック)
5. 後腹膜MFHの一例:生駒彩、南里正之、藤山千里、魚住二郎 (佐賀大学) 
6. 従来のTUR-Pとレーザーを組み合わせたω(オメガ)TUR-P:出嶋卓、狩野武洋、徳田倫章(佐賀県立病院) 

特別講演(17:10〜18:10)「外来で診る小児外性器異常の最新知見」福岡こども病院泌尿器科部長 山口孝則先生

小児包茎について:60%が仮性包茎、40%が真性包茎、5%(5-12%)が排尿異常。父親よりも母親が心配する。初診時からリンデロン軟膏で包皮を翻転し、実際に手術が必要な包茎は少ない。手術は2,6,10時の外板切開と0,4,8時の内板切開。埋没陰茎で脂肪が少なく、皮膚の短いものは手術。

小さい陰茎では、-2SD以下であれば、突発性が14%で、それ以外はただ単に小さいというよりも、内分泌異常や染色体異常などが隠されている。思春期前であれば、5%dehydrotestosteron軟膏を院内製剤で作って、2回/日で3週間塗布し大きくなることが多い。それ以上長く塗布すると肝障害や色素沈着する。

停留精巣は未熟児に多く10〜30%に合併。左右差は無い。一般に生後3ヶ月までは内因性の男性ホルモンが思春期レベルあるがそれ以後の思春期まではほとんど無い位に少ないので、この間は停留精巣も下降する可能性は少ない。そこで、生後6ヶ月以降は待っても下降する可能性は低い。心得では停留精巣の下降度を1から4度に分類。1歳以降では精細胞の減少が見られるので、早めに手術する。特に両側停留精巣では妊孕性が低い。移動精巣は手術不要だが、次第に挙上する精巣は手術が必要。

陰嚢水腫は今、陰嚢水瘤という。穿刺は禁忌で、幼児期には100%が自然治癒。学童期でも60%が自然治癒。手術は不要で2,3年経過観察すれば良い。

精索捻転は新生児期には鞘膜外捻転、思春期には鞘膜内捻転。1〜6歳では捻転が少ない。7歳から増える。付属小体の捻転には手術は不要。ドップラー(Doppler)で診断。突発性陰嚢浮腫はアレルギー性疾患で痛みはあるが数日で治る。

議 事(18:10〜18:25)会長報告、次期会長選出、その他、次期会長は中尾医院の中尾皆生院長に決まりました。

恒例の翌日の懇親ゴルフは、今回初めて出席者が少なかったために中止になりました。

第3回佐賀ウロギネコロジー研究会

平成19年10月19日佐賀市マリトピアにて開催され、院長が出席し勉強しました。一般演題は佐賀大学泌尿器科の川崎麻己先生の、骨盤内膿瘍を来したTVT感染の1例でした。特別講演は、三井記念病院産婦人科の中田真木先生の、POPの評価とマネジメント、でした。

院内火災非難訓練、ボーリング会、懇親会:

平成19年10月16日院内勉強会の一環として、火災非難訓練を行いました。伊万里消防署からも消防士が来院しオブザーバーとして、見守り、その後諸注意がありました。

火災訓練のあとは伊万里ボウリングでボウリング会を行いましたが、ひ頃全くボウリングをしていない者がほとんどでしたので、楽しくはありましたが、記録的には非常に低調な試合でした。

その後ドライブイン鳥で会食しました。幹事さんご苦労様でした。

看護師・准看護師卒後研修会:         

平成19年10月13日伊万里市で伊万里有田地区医師会看護学校の主催で開催され看護師が出席しました。以下はその時の報告です。

看護師 井手 宏直

大丈夫ですか?感染対策! 〜感染対策の基礎と感染管理認定看護師の活動〜感染管理認定看護師 杉町富貴子 先生        スタンダードプリコーション(標準予防策)とは感染症の有無にかかわらずすべての患者に対して、標準的に実践する予防策。すべての患者の汗を除く血液、体液、粘膜、損傷した皮膚を感染の可能性があるとして対応する。それにより患者と医療者双方に対する感染のリスクを減少することができるとある。

感染経路別予防策として感染源である患者を隔離するのではなく、感染経路を遮断することで有効な感染対策を実施するという考え方でそのためには、感染症の診断が必要である。

しかし、感染予防策に限界があり未知の感染症に対して無防備である。潜伏期間中の場合などは検査してもわからない。検査結果が出るまでは一定の時間・期間が必要であり、結果が出てからは遅い。このような事からあらゆる微生物を視野に入れた対応が必要であると考れられます。

日々の業務に追われ感染対策など考えず患者さんの処置をしていることがありますが日々の医療行為一つ一つが患者さんに感染をさせてることがあるかもしれません。患者さんに感染させない、看護者自身も感染から身を守るためにも手洗いをきちんとすることが大切で、もっとも簡便でもっとも効果的な感染予防対策だとあらためて理解しました。また微生物は自分では移動できないが、しかし人の手にくっついたり、埃にくっついてどこまでも移動することができるということ埃のない環境をつくることも大切だとわかりました。

看護は感染が起きてから患者にどのように対応するかよりも、感染を予防することに役割があると考えられます。そのためにも医療者が感染に対する意識をもち手洗いをはじめとした感染予防策を厳守すること、またケア・処置時に感染防止技術を実践することで感染から身を守ることができるとあらためてわかりました。今後の看護に活かしていかなければいけないと思いました。 

伊万里有田地区医師会学術講演会:

平成19年10月12日伊万里市迎賓館にて開催され、院長が参加し勉強しました。佐賀大学医学部光学医療診療部、岩切龍一准教授による特別講演:「NSAIDsと胃粘膜障害」があり、大変参考になりました。以下にその要旨の一部を書きます。

NSAIDsは世界中で沢山処方されており、特に高齢者に多く使用され、使用の内40%が高齢者。NSAIDsの長期内服で20〜25%に副作用が出ており、そのうち胃粘膜障害、潰瘍は10〜25%。NSAIDs内服で63%に上腹部症状が出たと言う報告がある。副作用は内服期間よりも用量に依存するが、アスピリンは例外で少用量でも副作用は同じくらい出る。アスピリンの場合は無症状で急に消化管出血を起こすことが多い。アスピリン以外の抗血栓剤でも少しは胃粘膜障害が出るが、アスピリンと併用するとその頻度が増える。
NSAIDsの胃腸障害は、2つの機序があり、1.プロスタグランヂン(PG)の阻害、2.胃粘膜に対する直接作用。アラキドン酸からのプロスタグランジン(PG)生合成の律速酵素であるCOX:シクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase)をNSAIDsが阻害するので、PRによる胃粘膜保護作用が弱る。(ということは、坐薬でも胃腸障害が出ると言うことか)COXにはCOX1とCOX2がある。COX1は正常でも出現する酵素、COX2は炎症などの病的時に出る酵素。そこで、COX1を阻害せず、COX2のみ阻害するNSAIDsが理想的だ。ところが、そのようなNSAIDsは発売されてはきたが、心血管系の副作用も強いので、販売中止になったりして、あまり使用されていない。
NSAIDsによる胃潰瘍の治療には、胃散を充分抑えることが重要。H2ブロッカーでは不十分で、プロトンポンプ阻害剤が必要。 NSAIDsを長期使用する時は胃腸障害を忘れずに。

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