第1671回 良かったね 母さん

 令和7年 2月6日~

 夕方の通勤電車に乗りました。満員で奥まで行けず
入り口に立っていると、発車直前に、三歳ぐらいの男の子が、
お母さんに手を引かれて乗り込んできました。

男の子は大人たちに囲まれ「お母さんー 疲れたあ 座りたい」と
ぐずり始めました。
仕事帰り、みんな疲れているのに 子どものその言葉に
車内は微妙な空気に包まれました。

その時、おかさんが、意外なことを言いました。
「よかったね。人気があんだね、この電車、
  こんなに沢山の人が乗ってるでしょう。
  この電車 とても人気の電車なんだよ。乗れて良かったね」と。

 そばに立っていた高校生の男の子が、お母さんを応援するように 
「この電車人気があるんだね。俺も乗りたかったんだ」
「乗れて良かったね」と、笑いながらいいました。
ぐずり出しそうだった小さな男の子は、高校生と母親を見上げて

「人気の 電車に乗れて、よかったね母さん、やったーやったー」と。

 環境が変わったわけではありません。同じ満員電車でも受け取り方で
まるで違って感じられたのです。
これは、子どもだけの話ではありません。
歳を重ねてくると 体もあちこち痛く、物忘れをする、暗い気持ちで
「歳を取って 良いこと何もないね」と、愚痴る仲間と一緒にいると、
辛い苦しい人生に感じられてしまいます。

 ところが、南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏の仏さまは、
この私に、「待ってるよ 期待しているよ、お浄土へおいでね。 
と 呼びかけおられる」 こう聞くことの出来た人は、
同じ環境でも、違ってくるものです。

 若いときのように、体が思うように動かなくなり、周りの
みんなに迷惑をかけ、誰にも相手にされず邪魔者扱いされ、
独りぽっちであっても、仏さまの呼びかけ、「期待しているよ、まってるよ
あなたが必要 お浄土で仏になって 多くの人を救うはたらきを
一緒にしてほしい。南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏」と
聞くことができた人は、受け取り方がまるで違います。

 若い頃 合格通知を受け取って 入学や 会社に入社する日を
期待して待っていた時のように 大きな仕事が始まる前のように
希望に満ちた生活が送れるのです。


私は 期待されて待たれている。
前だった親も祖父母も、一緒に 頑張ろう 期待しているよ
と呼びかけ、待っていただいている。
そう味わえてくると、希望が 喜びがわいてくるものです。

 苦しい状況でも、悲しい状況のまっただ中でも 
感じ方、味わい方が 違ってくると、まるで違った世界が見えてくるものです。
私もあなたも、まもなく 仏さまとして活躍出来るお仲間 期待され
待たれていると味わいながら、この世での一日一日を
南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏を口にして
精一杯 生きていきたいものです。 

 

          


           私も一言(伝言板)