第1632回 母の日のプレゼント

 令和6年 5月9日~

 サザエさんという子どもに人気のテレビマンガがあります。
日曜日の夕方の放送ですが、ずっと以前に
「母の日の贈り物」という タイトルの回があったということです。

母親のフネさんに 母の日のプレゼント、何をしようかと 
兄妹で相談して、いろいろのアイデアを出し合いますが、
なかなか良い案がありません。

 それならばと、いっそのこと、受け取る本人である 
お母さんに直接聞いてみて、それから決めようということになり
「ねえ、お母さん お母さんのしあわせって 何?」と聞きました。
答えは「あなた達が、元気でいることですよ」と。

 これでは、プレゼントのヒントにならないので
重ねて質問してみました。
「お母さんの喜びって何?」と、期待を込めて聞いてみましたが、
返事は「あなた達が いつも笑顔を見せていることですよ」
自分のことではなく、みんな子どものことばかりであり、
どうも、お母さんの中には、自分のことよりも、子どもたちのことで
いっぱいなのだと、分かったものの、お母さんが喜んでくれる
物は、聞き出せませんでした。

 ところで、一昔前までは 仏さまのことを親様・親様と
言っていたといいます。
自分のことよりも、子どもの、この私のことを第一に
考えてくださっているのと親と同じように
仏さまは 私のことを第一に、いつも考えてくださっていることを
意味した言葉なのでしょう。

 子どもの方は 親の気持ちは ほとんど気づかず、なかなか
味わうことが出来ないものですが、
親は、子どもが生まれるまえから思いを寄せ、生まれて
おっぱいを飲ませ、熱を出したと心配し、幼稚園、小学校、
中学校・・・ずっとずっと、手塩にかけて育てていただいたことに
ほとんど有り難さを感じることもなく、みんな、当たり前になって、
感謝の気持ちは、少しも持ち合わせていません。

 同じように、仏さまも このわたしのことを、
見守り励まし 導いてくださっているのに
私たちは、まったく気づいていません。

 それが、仏さまのお話を聞かせていただくことで、
お聴聞することで、その思いや、はたらきが、少しづつ
味わえてくるものです。
それとともに、自分の親や兄弟 祖父母、周りの人々の思いを
気づかせていただくことが出来るように育てられていくのです。
そうすると、なんと有り難いことばかりなのか、勿体ないことか、
大きな喜びを感じることが出来るものです。

 母の日に、贈りものを渡すだけで終わらずに、親たちが
もっとも喜んでくださるのは、子どものわたしが 
活き活きとして喜び多く、笑顔で生きていることでしょう。
それが最高の親孝行、最高のプレゼントではないかと、味わえます。

 そう味わうと、生きている親にだけでは無く、仏さまになって
私を応援してくださっている方々をも、今からでも喜ばせることが
出来るのです。

 先だった親たちを、喜ばせるのは、お聴聞して、その思いに
気づかせていただくこと、そう考えると、親孝行は 
今からでも出来るのです。
まだ、遅くはないのです。

          


           私も一言(伝言板)