第1494回 「おぶっぱん」 子どもへのメッセージ

令和3年 9月16日~

子どもさんへのこんな法話が、ご本山のホームページにありました。
 (橘 行信師)

 おばあちゃんの家に泊まった。朝起きると、
キッチンでおばあちゃんがご飯をよそっている。
お茶わんじゃない、金色の、へんな形のうつわに。


「それなに?」
「おぶっぱんだよ」
「おぶっぱん? 」
「おぶっぱんは仏さまにお供えするご飯だよ」
おばあちゃんは、そのおぶっぱんを持っておぶつだんの前に行った。
手を伸ばして仏さまの前におぶっぱんをそっと置いた。


「仏さま用のご飯?仏さまってご飯食べるの? 」
「仏さまはご飯食べんよ」
「じゃあなんでお供えするの? 」
「お供えは感謝とお礼なんよ。
 仏さまはな、私らのいのちがどうできとるか
 教えてくれるんや。ご飯は当たり前にあるんやない。
 料理する人。食べ物買う人。それを売る人。
 買うお金をかせぐ人。食べ物を作る人。
 食べ物そのもののいのち。それを私らは食べとる。
 それだけ多くのいのちが私らのいのちを支えてくれとる。
 何も知らずに寝とる間も多くのいのちがずっと途切れず
 手間をかけ支度をしてくれとる。
 そうやってできとるのが私のいのち。つなっがとるんよ、全部」


「そっか」
「だからな、自分が勝手していいいのちなんてもんはないんよ。
 支えられて心配されて育てられとるいのちしかないんよ。
 仏さまのおぶっぱんはそれを教えてくれる。
 教えてもらったお礼せな」

 
 おばあちゃんはそう言って、おぶつだんに手を合わせた。
僕も一緒に手を合わせた。

食卓に座ると、あっという間にあったかいご飯とおかずが
たくさん用意された。僕が寝ている間におばあちゃんが
準備してくれていた。おかあさんも毎日そうなんだね。

仏さま、教えてくれてありがとう。

多くのいのちとみなさまのおかげにより
このごちそうをめぐまれました。

深くご恩を喜び ありがたくいただきます。 ・・・・・

 こどもへのメッセージ 「おぶっぱん」でした。


          


           私も一言(伝言板)