第1432回 お仏壇って 要りますか?

令和2年 7月 9日〜

 お仏壇がなくても暮らせることは確かです。
でも、お仏壇がある生活とない生活は
違いますね。それは間違いないです。

 お仏壇があると生活空間に軸が生まれます。
方向性が生まれます。私か運営する
認知症高齢者のグループホームでも
お仏壇があります。認知症の方でも、
けっしてお仏壇に足を向けて寝転んだりは
しません。
足を向けて寝られないものがある生活と
ない生活、同じであるはずがありません。

 お仏壇はなかなか多様な意味や
機能をもっています。
一つは、仏さまをおまつるする場です。
二つ目として、家の軸であること。
さらに三つ目には、先に往った人との
対話の窓口でもある。

私たちは、お仏壇の前に座って
亡くなった人にあれこれ語りかける、
なんてことをしますよね。
うれしいことも、悲しいことも、
語ることができる。

 また、先に往った人の声を聞こうと
する場でもあります。
とにかく、お仏壇の前だと、日常の
バリアをおろして、そのままの
自分に戻ることができます。

 四つ目として、自分の姿を映す
鏡でもあると思います。
私たちはついつい生き方が偏って
しまいます。
でもなかなか自分の偏りに気づく
ことはできません。
だから、お仏壇の前に座って自分の姿を
映して、偏りを点検するのです。
思いつくまま四つほど挙げてみましたが、
よく考えるともっとありそうです。

 もともと浄土真宗では、普通の民家に
「南無阿弥陀仏」のお軸を掛け、そこが
念仏道場となる、といった独特の形態が
ありました。

そこから考えますと、場合によっては、
立派なお仏壇じゃなくても、壁にお名号を
掛けてお荘厳するだけでも家の軸・人生の
軸は生まれるに違いありません。

  浄土真宗の終活を考える 本願寺出版社
          釈徹宗師の回答


          


           私も一言(伝言板)