第1431回 お世話され上手になろう

 令和2年 7月2日〜

 現代人は 次第に迷惑かけるのも、かけられる
のも苦手になっているようです。

他者に迷惑をかけないというのは美徳でもあ
るのですが、一歩間違えると傲慢になって
しまいます。

なにしろ誰にも迷惑をかけずに生きて
いくことなんて できないのですから。
かつての地域共同体が濃厚な社会や
大家族制で暮らしていた時などは、
迷惑をかけたり かけられたりしながら
生きることが当たり前でした。

つまり、みんなが上手に迷惑をかけたり
かけられたりする態度を成熟させてきた
わけです。

 しかし、私たちの社会は都市化が進みました。
他者に迷惑かけない限りはご自由にどうぞ、
というのが都市のマインドです。

都市には守るべき伝統様式などは希薄ですから。
そして、もはや田舎であっても、生活する人の
マインドは都市化しています。

だから現代人は迷惑をかけたり、かけられたり
するのが苦手になっているというわけです。

 でも、どれほど都市化しても、仏教が
説くように、老病死といった苦悩に直面する
日がやってきます。
誰かに迷惑をかけたり、かけられたりする時が
来るのです。

自分は誰の世話にもならないという
傲慢さではなく、上手に迷惑をかける
柔軟な心身を育てていく、それがこれからの
現代人のテーマではないでしょうか。

これを「お世話され上手を目指す」などと
呼んでいます。
お世話され上手になるポイントは
こだわりのないこと」「わが身をゆだねる
こと」です。

そう考えていきますと、古来、浄土真宗が
説いてきた「仏さまにおまかせしていく」のは、
本当に究極ですね。
仏道としての教えだけじゃなく、いかに人生を
生き抜くかといった智恵の面もあると思います。

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