第１３９０回　諸仏に護られる

令和元年　９月１９日～

　十方世界の諸仏は、私たちが南無阿弥陀仏の名号の不思議に
助けられて必ず往生するということを証明してくださっているのです。
この真理を妄想妄念によって疑ってはなりません。
私たちがお念仏をすると、十方の諸仏が一緒にお念仏されるのです。

だから念仏の宇宙は実ににぎやかであります。
お念仏は 私一人のことではなく、無量の諸仏が称える南無阿弥陀仏という
名号を称えることだからです。
この名号こそ、世界の空虚を真に充実させるところのものです。
世界は名号という本当の言葉によって、初めて本当に世界に成るのです。

　逆に言えば、この本当の言葉がないならば、どこまで行っても
世界は五濁悪世であるということです。
称名念仏がない世界は、空しい言葉の洪水の中にあります。
称名以外の言葉は、内容を宿さない言葉、その場限りの
言い逃れの言葉、気休めの言葉でしかありません。

実生活でわれわれが使って生きている言葉は、ほとんど一時の
気休めの言葉ではありませんか。
『歎異抄』の後序に

　　煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろづのこと、みなもって
　　そらごとたはごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞ
　　まことにておはします

と親鸞聖人がおっしゃっているとおりです。
本当の言葉というのは、お前を救うと言ったらその言葉どおりに
必ず救ってくださる言葉のことです。
すべての言葉の中で、この阿弥陀さまの言葉だけが間違いないのです。

言っておられることとなさることが同じであるというのが阿弥陀さまです。
救うと言われる言葉そのものに救いがあるのです。
そういう本願の名号が私を救うのだという真理を説いたのが『大経』です。

　そして『観経』には、その名号によらねば救われないわれわれ凡夫の
絶望的な病状が説かれています。
人間存在は、死んでも死にきれないという精神の病気、絶望という病気を
持っているのです。

死んだぐらいでは解決しない、永遠に治癒しない病気です。
死んだらまた生まれ、また死ぬというふうにどこまでも解決することが
ありません。生死流転ということがわかりにくいなら、このように
言い換えたらわかるでしょう。

死ぬという嫌なことを無限に繰り返して終わりがないことが、
生死流転という凡夫のわれわれのあり方です。
このような生死から脱却させようという、阿弥陀さまの本願の名号に
嘘がないことを証明してくださるのが、『阿弥陀経』です。

　　　　　　　　大峯顕著　生命環流　本願寺出版社　より

　　　 　　　　　　


　　　　　　　　　　　私も一言（伝言板）