第1372回 ご先祖をしのんで 
  
 令和元年 5月 16日~

 月日の経つのは早いもので、法名釈(  )、(  )さんが
お亡くなりになられて、すでに( )年がたちました。
故人生前のいろいろな思い出の中に、この日をお迎えのことと存じます。


 浄土真宗の法事、年忌法要の意味は、ご先祖にお経をささげることではなく、
亡き人の忌日を縁として、仏さまのお徳をたたえ、お経に説かれているみ教えを
聞かせていただくことにあります。

年忌法要という形で、ご先祖が与えてくださったこの聞法の機会を、
だにすることのないように、仏法の意味に気づき、お念仏申させて
いただくことにご法事の意義があり、ご先祖に御恩報謝させていただける
道なのだと思います。


 今の私たちの家庭生活は多忙をきわめ、家族もそれぞれ、別々に
住んでいることが多くなりました。
したがって、仏法をつぎの世代に伝えることは、たいへんむつかしく
なってきました。

こうして、亡き人のご法事をご縁として皆さまがお集まりになり、
仏さまのみ教えを聞かせていただくことは、たいへん有意義な機会で
あるといわなければなりません。


 この機会に、私たちは決してひとりではなく、多くの人びととの
つながりの中で生かされていること。多くの親せきのかたがたの
いに包まれて生かされていること。
そして何よりも、お念仏を共にしていることを確かめていただきたいのです。

そしてこのお念仏は、ご先祖から、このご家庭にお伝えいただい
たものなのです。

 ともに手を合わせ、「南無阿弥陀仏」とおとなえすることによって、
ご先祖がたとはもとより、ともすれば、ばらばらになりがちな家族の心が、
一つになれるのではないでしょうか。

単なる偶然によって、この場所に居合わせているのではありません。
「お念仏を共にする」というのは、いま申し上げたような意味なのです。


 家族はただ血のつながりというだけではなく、お念仏によって、
未来永劫につながっていくのだということを確かめる機会を、
年忌法要という形で、ご先祖がつくってくださっているのです。

何がご先祖のご恩にこたえる道なのか、ということに思いをめぐらしながら、
ご一緒にお念仏申しましょう。南無阿弥陀仏……。

                   朗読法話集 第一集より


          


           私も一言(伝言板)