第1361回 年忌法要

 平成31年 2月28日〜

 核家族化が進み、ひとり暮らしが増えつつある今日このごろです。  
私たちが多くの「いのち」のつながりの中で生きていることを、実感する場が
少なくなりました。

そのことからいっても、亡き人をご
縁に、親類縁者が集まって営む年忌法要の
もつ意義は、大きいとい
えましょう。

 その一つは、亡き人を偲ぶ中から連綿と受け継かれている、深い「いのら」の
流れに触れること、すなわち「いのち」の縦のつなが
りが実感できることです。

二つめに、縁ある者が集うことによって、その大いなる「いのち」に包まれて、
共に生きていること、すなわち、「いのち」の横
のつながりが味わえることでしょう。

 年忌のおつとめは、一周忌、三回忌、七回忌、十三回忌、十七回忌二十五回忌、
三十三回忌、五十回忌、以後五十年ごとに行うの
が一般的ですが、二十三回忌と
二十七回忌など、「三」「七」のつく
年忌をつとめる場合もあります。
一周忌を除いて、かぞえ年で計算
し、たとえば十三回忌は丸十二年後になります。

  こうした年忌の年は、どういう根拠でできあがったものか、かならずしも
明らかでありませんし、一挙に今のような年忌のかたちが
成立したわけではなさそうです。
しかし、故人を身近に偲び、慕う
心が、年忌の習慣を定着させたことだけは確かでしょう。

 ただ、私たち浄土真宗の法(みのり)を聞く者にとって、年忌法要は、亡き人の
霊を慰め、追善回向するためのものではなく、故人
を偲びつつ、静かに人生を思い、
み教えを聴聞する法座なのです。

 そして、阿弥陀さまのかぎりない光といのちの中に、亡き人も私も抱かれている
ことに思いをいたし、阿弥陀さまによって、かならず
救われていくことをよろこび、
感謝するご縁として営ませていただ
くのです。

   では最後に、ご一緒にお念仏申しましょう。南無阿弥陀仏……。

                            朗読法話集 第一集より

          


           私も一言(伝言板)