第1338回 相続すること

平成30年 9月20日〜

 ネットを見ていると、家族だけでの小さなお葬式の宣伝がよく目にとまります。
時代がどんどんと変化して、一体何が変わったのでしょうか。


一昔前までは葬儀というのは、親戚や近所の人の 協力がなければ
自分たちだけでは出来ないものでした。

遺族や親戚、手伝いの人への食事の炊き出しや、受付など、それぞれの
集落には決まり事があって、仕事を休んで協力しあったものでした。

そして、親戚の長老や集落の古老が、伝統を受け継ぎ若者達に指示して

決まり通り、何の疑問もなく しくしくと葬儀が行われてきました。

そこに 専門の葬儀社が誕生して、近所のお世話にならなくても、

お金を支払うことで、自分たちだけで葬儀が可能となってきました。
それまで、采配をふるっていた親戚や地域の人々は、伝統やしきたりを、
指導し、確認する機会がなくなり、参列者の一人となってしまいました。

遺族は、自由な発想で葬儀を行えるようになりましたが、何のために

葬儀を行うか 葬儀をする意味を見いだせず、簡素化することが
多くなっているようです。

 地域のみんなでお葬式をしていた時代にはあった、伝承や、決まりことが
突然に途絶えてしまったことで、葬儀をする意味や目的、成果などが、
次の世代に伝わらなくなっているように感じます。

 それとともに、通夜葬儀の長い時間を通して、亡くなった親たちの願いや
希望、期待、故人の人間的な特徴、良い面も悪い面も、すこし誇張しながら
子どもや孫たちに語られていたことでしょう。

そして、親の願いを集約したものが お念仏の教え、この教えとの

ご縁を結ぶことが、子どもや孫たちに出来る最大の親孝行だと、
念仏者の仲間としての喜びや生きがいを伝えたり
寺院や墓地、お仏壇、ご法事、お聴聞が最も大事であることなども
話されていたことでしょう。

 人間を超えた力 自然や宗教的な大きな力があることを教え伝えること
人生の先輩として、様々な体験を伝え、未来への橋渡しになり
身近な大人の生き様を見せ、さまざまな人生があることを感じさる
効果があったことでしょう。

 また、縦のつながり、未来へむけて次の世代のためになすべきこと
集落や一族の共通の理想、目標 集団、共同体、公の立場があること
など、先祖から受け継いだ想いを 話しかけていたのでしょう。
親からだけではなく、こうした近所や親戚の人からの伝承が、
今まったく消えてきているようです。

 こうした現状を、はっきりと認識して、意図的に次の世代に伝えていくよう
喜び多い人生を受け取っていただけるよう、それぞれの立場で、
こころがける必要があることをつくづくと感じます。

今何が必要なのか、次の世代に相続していく必要を感じます。

          


           私も一言(伝言板)