第1327回 足るを 知る

 平成30年 7月5日~

 ただ今、(  )のおつとめをいたしました。
この機会にひとこと、ご法話を(朗読)させていただきます。

 お経の中に、「少欲知足」ということが説かれています。
「少欲」とは少ない欲、つまり欲望を抑えるということです。
「知足」とは、足るを知るということです。


私たちにはなるべく楽をしたい、おいしい物を食べたい、
いいものを持ちたいなど、たくさんの欲望があります。
それだからこそ、少しでも、よい環境を求め、物をつくりだす
努力をし、すばらしい将来を希望するのです。その結果として
進歩というものがあるともいえましよう。

 しかしこの欲望は、次から次へと涌いてきて、とどまるところが 
ありません。

欲望を満たすためにあくせくし、みにくい争いも起きます。
お釈迦さまは、それを、「求めても得られない苦しみ」であると
いわれました。
そして、その欲望になりふりかまわず身をまかせていくのでなく、

欲望をなるべくおさえ、今、こうして与えられているものの価値を
見いだしていくことが、重要であると、教えてくださったのです。

 考えてみると、私たちには、ずいぶん多くのものが与えられています。
しかし、それに気づくことなく、つぎつぎに、それ以外の欲望を
満足させるためのものを求めて生きているのが、今の私たちの
姿ではないでしょうか。

 自然から受けている数かぎりない恩恵、得がたくして得ている
「いのち」。人びとからの好意に気づき、欲望を抑えていくことが、
仏教そして、仏教徒としての第一歩でしょう。

 欲望に縛られ、自己を見失うことのないよう、ほんとうに私を
生かしてくれているものを、見過ごすことのないよう、さらには、
おかげさまでと感謝し、身をつつしむことが大切であることを、
仏教は教えているのです。

 では最後に、ご一緒にお念仏申しましょう。南無阿弥陀仏……。

                 朗読法話集 第一集 より

          


           私も一言(伝言板)