第1304回 今や 稀少な教えに

平成30年 1月 25日〜

「宗教年艦」が文化庁から毎年発艦されています。
それによると、信者数が多い宗教は、浄土真宗で、本願寺派が792万人
真宗大谷派791万人と、あわせると1600万人、浄土真宗が、日本では
もっとも信者数が多い宗教だということです。

 ところで、今から 150年前の明治時代初期には、日本の人口は 凡そ300万人で、
そのうち浄土真宗の信者が 2000万人もいて、国民の半数以上は

南無阿弥陀仏の教えだったと聞いたことがあります。

 現在、日本の人口は、約4倍の12千万を超えていますが、お念仏の人は
逆に減ってしまい、その比率は、60パーセントから、大きく下がって
わずか 12パーセント余り、現代では、国民全体から見れば
少数派の珍しい貴重な教えになってしまったようです。

 農村地帯では、家族や地域で南無阿弥陀仏の教えが、生活の中に
位置づけられ伝わっていましたが、だんだんと親と子供が一緒に住まなく
なってきて、親から子へと、南無阿弥陀仏が伝わらなくなっているように感じます。

 そして、ご門徒の中でも、実際にお聴聞をして、
「お念仏の人は、やがてお浄土に生まれ仏になる、この世をさった先輩達は、
すでに南無阿弥陀仏・南無阿弥陀仏と はたらきかけて頂いている」と
味わっている人が、はたして、どれだけおられるのでしょうか。

 残念ながら、自分のまわりのご門徒をみていると、その2割から3割だけが
本堂に座ってお聴聞していただく方で、その他の多くの方々は、お聴聞のご縁がなく、
一般でいう「先祖供養が仏教である」と理解しておられるのではないかと思います。


 ですから、お釈迦さまが説かれ、親鸞聖人が勧めていただいている
南無阿弥陀仏の教え、お念仏で救われるということを、ご存じでない方が
ほとんどで、仏教は自分のためのもの、この私のための教えとは
味わっておられる方はほんのわずかなのだろうと思います。

 昔よく聞かれていた、お陰さまで、もったいない、有り難うございます。という
自分の人生を、すばらしいものと喜んでおられる方は、非常に少なく 現代は
暮らしは豊かになったものの、心は貧しく苦しみ多い人生を送っておいでの方が
多数派となったのでしょう。

 月忌参りで、毎月お逢いする心豊かな方々と、南無阿弥陀仏のご縁が
まったく無い、その他の多くの方々を見比べると、お念仏にご縁が無い方々が、
老病死に悩み苦しみ、人間に生まれてきたことを、喜ぶどころか、悲しみ
嘆いておられる姿を拝見することがあります。
実にもったいない、辛い人生を送っておいのようで残念でなりません。

日本人の価値観の中心にあった、南無阿弥陀仏・お念仏の教えが今や、
貴重なごく少数の方々にだけに伝わっている教えとなっているように味わえます。

 若い世代は、追い求めて欲望を叶えることも大事でしょうが、
歳を重ねた世代は、無い物ねだりをするのではなく、いま自分に与えられた
環境・境遇を、そして自分の周りに起きる出来事を、また共に生き
ご苦労かけている人々の存在に、気づかせていただき、感謝の気持ちを
味わえる喜び多い豊かな人生を送らせていただきたいものです。

歳を取っても、健康でなくなっても、残りのいのちがわずかでも、
お浄土という確かな未来を与えていただき、南無阿弥陀仏に導びかれて、
慌てず騒がず堂々と生きぬいていきたいものです。
気づかねば、辛い苦しい人生で終わり、南無阿弥陀仏の教えに遇えて、
初めて喜び多い人生を受け取ることが出来るのです。

 南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏を口にし、耳に聞きながら、喜び多い、
生き甲斐ある人生を味合わせていただき、この貴重な教えを子や孫へ
伝えていただいものです。

これこそが確かに次の世代に残すことの出来る最高の財産、宝ものだと味わいます

          


           私も一言(伝言板)