第1710回 おかげさま  お影さま

 令和7年11月6日~

「ご家族はお元気ですか」と ひさしぶりに会った人から
尋ねられたときに、「おかげさまで元気です」と答えて、
いいものでしょうか。

直接には、お世話になっていないのに「おかげさまで」と言うのは
どうも抵抗を感じる人がいるのではないかとの疑問に
NHK放送文化研究所が調査したところ「おかげさまで」という
言い方に、抵抗があるのはほんの少数で、ビジネスの世界などでも
広く使われていると言うことです。

 この「おかげさま」ということばは 近江商人が、
全国に行商する中で、こうして商売をさせていただけるのは
阿弥陀如来の「御蔭」であると、「おかげさまで」ということばを
大切にしながら全国を巡ったので、この言葉が広まったのだと、
司馬遼太郎さんが『街道をゆく』という紀行文集の中で
おっしゃっています。

 また大阪商人は「儲かりまっか」「まあ、ぼちぼちでんな」
という挨拶を交わすと言われますが、昔は「儲かりまっか」と
聞かれると「おかげさんで」と必ず言っていたそうです。
「おかげさんで」とは仏さまのご加護によってなんとか
生きていけることを〈お陰〉と感じて、その〈お陰〉を
感謝する思想なのでしょう。

大阪商人も 非常に宗教的な心をもった人たちであると
思われます、有名な御堂筋は、東西本願寺の別院、御堂が
ある通りのことです。

「おかげさま」という言葉を言い換える 日頃からお力添えをいただき、
誠にありがとうございますなど、 “お力添え”の“お力”は、
相手の力のことを指し、”助けていただいて有り難うございます。
との意味でしょうし、
物事がうまくいっていることを“おかげさま”と同様に、
“ありがたいことに”とも、使っています。

また、スピーチや挨拶状の中では、“ご協力のたまもの”
“ご支援のたまもの”という表現を使って大勢の相手に対して
感謝の意を伝えるために使われています。


 京都の西本願寺には 阿弥陀堂と 御影堂とがありますが、
御影堂の御影は、「おかげ」とも読めます。
ですから、お陰さまという漢字より、
お影さまの方が浄土真宗では 良いのではないかと感じます。 
また「させて頂きます」も、阿弥陀さまのはたらきの「お影さま」と
感じる浄土真宗の教えから生まれた言葉だともいわれます。