第1706回 無税の相続

 令和7年 10月9日~

 おかげさまで 10年半に一度の 佐賀組の巡番報恩講は
10月1日から 五日間 多くの方にお参りいただき有り難い法要となりました。
日頃は 一日だけ法要にお参りして、それで終わりの方が多いのですが、
今回は 連続してお参りいただく方が多かったように感じました。
ご講師の渡辺崇之先生の軽快なお話に、笑いと笑顔が絶えることのない
明るく賑やかな法要となり、有り難いことでした。

 ところで、毎日の法座の最後に、総代と住職が挨拶していますが、
今回は、こんな話をしました。
それぞれのお宅に上がり込んで、月忌参りや法要に伺って30年あまり、
お念仏にご縁があるお宅と、まったくご縁の無いお宅とでは、まるで
違うことをつくづく感じます。

 相続という言葉がありますが、相続というと今、税金のかかる
ことばかりをイメージされる方が多いと思いますが、もともとは、
念仏相続という言葉から出てきものではないかと思います。

 昔は、長男が家を継ぎ、財産も家も家業も 全部一人で受け継いでいました。
他の兄弟には、その権利はありませんでした。
現代では 兄弟がみな平等に遺産を相続できるようになってきました。
財産は、分配すれば、段々と少なくなっていくものですが、
お念仏の教えは、全員に平等に伝えても 減ることはなく、子どもや孫へ
いつまでも、そのまま受け継ぐことができるものです。
物は、使えばすぐなくなってしまうものですが、お念仏の価値観は
どんなに分けても、減ることはなく、代々伝えていくことができるものです。

 税金のかかる相続ばかりではなく、先だった親たちが最も喜ぶ、お念仏を通して
感じる力、思いやりのこころ、感謝の気持ち、喜びを受け取っていき
それを確実に次の世代へ伝えていただきたいものです。

 どんな宝ものにもまして、このお念仏の価値観は 有り難い財産です。
歳を取っても、病気をしても、どんな災害に見舞われても、これほど
価値があり確かなものはありません。

 それを、次の世代に受け継ぐには、まず、大人の私たちがお聴聞をして、
喜ぶ姿を見せること、あんな生き方が理想だと思えるように、
力強く、明るく活き活きとした姿を見せてあげることでしょう。

それには、南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏のお念仏を、確かに受け取り
味わう力を身に着けることがまずは第一です。
この秋には、秋の法座も予定しています。
一月は ご正忌報恩講 そして、3月には 次の真覚寺さんでの
巡番報恩講 まずは、大人がお聴聞をして、その喜びを、感じ取って
いくことが、お念仏相続の もっとも早道だろうと、思います。

          


           私も一言(伝言板)