第1663回 絵本の読み聞かせ

 令和6年 12月12日~

 大阪に行信教校という 浄土真宗の専門学校があります。
そこの校長先生だった方が、こんな話をされたことがあると
いいます。

 子どもが夜寝る前に 親が絵本を読み聞かせて
寝かしつけることがあります。
その絵本の内容を 子どもに伝えようということよりも、
子どもに添い寝して一緒にいるから安心しなさい、
ちゃんと母さんは 父さんはここに居るよと

寄り添うことで、子どもは安心して眠りにつけるのです。

 浄土真宗のお説教は この読み聞かせと同じようなもの、
辛いこと悲しいこと悩み苦しんでいるこの私に、心配しなくていい
いつも一緒にいるから大丈夫 大丈夫 南無阿弥陀仏 
南無阿弥陀仏と 阿弥陀さまが呼びかけていただいていることを、
繰り返し繰り返し 聞かせていただくのだと、

教えていただいたと言います。

 先日亡くなった 詩人の谷川俊太郎さんが、若いお母さんの質問に
こんな答えをしたと聞きました。
私は、夜になると、一日が終わることと、いつか死ぬことが怖くて
怖くて泣いていた子どもでしたが、娘も同じように「死ぬのが怖い」と
夜な夜な泣く子です。母親として、どんな言葉をかけてやったら
いいのでしょうか、という質問です。

  これに対して谷川さんの答えは「抱きしめて、母さんも死ぬのが
怖いと一緒に泣けばよい」。

「大丈夫 大丈夫ではなく、母さんも怖いよと伝えること。
人は誰でも死ぬ。みんな怖いのです。
抱きしめてそのことを、子どもに伝えてあげたほうが良い」と。

 詩人の谷川さんは、そんなときには言葉ではなく
しっかりと抱きしめて 一緒に泣いてあげることですよと。
言葉を大事にしている方が、言葉ではなく、寄り添い
抱きしめてあげることですとの意外な回答だったと言います。

 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏も 阿弥陀さまがいつも一緒だよ
何があろうと、どんなことがあろうと、私が一緒だよと
呼びかけ、私を抱きしめてくださっている、そう味わうことで
どんなことが起こっても、何があっても、この人生は 安心です。
それには、繰り返しお聴聞することが大事なことです。

  そして、阿弥陀さまと一緒になって、今は亡き、父も母も 
祖父母も私の大切な人が、みんな揃って、私を見守り 抱きしめ 
支え続けてくださっていることを、自分でお念仏し、耳で
南無阿弥陀仏の声を聞かせていただくことで、怖さも吹き飛んで 
安心して生きていけるのです。


南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏は、その呼びかけの声です。


          


           私も一言(伝言板)