第1648回 まだ仕事は残っています

 令和6年 8月29日~

「老いて聞く 安らぎへの法話」という 本の中に
最後の仕事という項目が ありますが、
その一つで、「まだ仕事が残っています」というお話です。

 本願寺派に雑賀正晃というとても立派な布教使さんが
おられました。
そのご法話で こういうお話を聞いたことがあります。

雑賀先生のお寺の檀家総代 Yさんが老齢で入院され、
もう末期になられた。
雑賀先生がお見舞いに行かれると、目に涙をためて、
「先生、もう私は何もできません。この家内と看護師さんの
お世話になるばかりで・・・・」と細い声で言います。

「いや、Yさん、あなたには まだ大事な仕事が残っています。」
「仕事って、どんなことですか」
「『ありがとう』って言うことですよ。奥さんにも、先生にも、
  看護師さんにも、お見舞いの人にも『ありがとう』とお礼を言うのが
  あなたの仕事です。もし声が出なかったら、手で、眼で
  言ってください」

「あぁ、そうでした、そうでした。本当ですね。『ありがとう』
  ございました」
「それにね、Yさん。どのようになっても、お救いくださる
  阿弥陀さまにお礼申しあげることが第一ですよ」
「あぁ、そうでした、そうでした。なもあみだぶつ、
  なもあみだぶつ、・・・・」

  藤枝宏壽著 老いて聞くやすらぎへの法話より 自照社出版


  まだ、まだ先は長いと思っていますが、明日がしれないこのいのち
 大切な人に、そして阿弥陀さまに ありがとうございますと
 お礼をする一日でありたいものです。

          


           私も一言(伝言板)