第1606回 まだ 間に合う

 令和5年 11月 9日~

 こんな話を聞きました。
腰が曲がった高齢の住職が、導師を勤められた葬儀でのこと。
朗々としたお勤めの後、振り返り 持っている中啓で、
喪主のご長男さんを指して

「お前さん お前さんは 親孝行したかい」と
 おっしゃったといいます。

東京に住む長男は、なかなか郷里へは帰れず、今回も
お父さんが亡くなったとの知らせを受け、慌てて
帰ってこられたのです。
突然の住職の言葉に、喪主の長男さんは、肩を震わせて、
泣きはじめられたそうです。

「お前さん、まだ間に合うぞ、親孝行はな、これからでも
  間に合うぞ・・ 大丈夫じゃ。

 お前さん、お念仏したことあるかい。
 お浄土で 仏になられたお父さんはな、
 お前さんが、南無阿弥陀仏を口にしながら、阿弥陀さんと
 一緒に生きていく姿をみるのが、一番嬉しいんじゃ。

 大丈夫、まだ、親孝行は出来る まにあうぞ 」という
 有り難いご法話だったといいます。

 親が一番喜んでくれるのは、遠く離れていても
子どもが生きがいをもって、活き活きと生活していることです。
それには、阿弥陀さまの願いを聞いて、願いにかなう
生き方をすること。

 お浄土へ生まれた、両親やご先祖は
子どもや孫たちが、活き活きと、喜び多い人生を送ってほしいと
はたらきかけておられるのです。

今からでも、まだ間に合うのです。
南無阿弥陀仏を口に、阿弥陀如来の願いを聞き、
親が喜んでくれる生き方をすること
それが、私に今、出来る親孝行なのです。

          


           私も一言(伝言板)