第1533回 一番上等のお供え  ~喜んでいただくのは ~

 令和4年 6月16日~

 鹿児島別院のページのご法話に こんなお話がありました。
お仏壇に いろいろなものをお供えしてあるのを目にしますが、
最上のお供えは一体何なのかを 教えていただいたというお話です。

 思うこと一つかなえば また一つ

 山口県長門市俵山に深川倫雄という和上さま(僧侶)がおいででした。
この和上さまがご門徒のご法事に参った際、そのお宅のお仏壇の前には
一升瓶の日本酒が供えてあったそうです。

「今日は日本酒をお供えしたんじゃな」
「そうです。この日本酒は主人が大好きな日本酒でした。
 だから今日、主人が喜ぶかと思い、この日本酒をお供えしました」
この言葉を聞いたとき、和上さまの表情が曇りだしたそうです。

 そしてこう仰せになられた。
「なぁ、奥さん。あなた早く、主人を仏さまにしちゃれよ」
「あれ?和上さまはいつも仰せではないですか。如来さまが
  南無阿弥陀仏の名の声となって、私のところまで来てくださって、
  命終わっていくときに私を極楽浄土まで連れ帰ってくださると。
  主人は今極楽で浄土の仏さまとなっておるんじゃないんですか?」

「奥さん、あなた先ほど主人が喜ぶと思って日本酒を
 お供えしたと言っただろう。
 ということは、主人はまだお酒が好きなところにおるのだな。
 だからまだ主人は仏さまになっていないのではないか」

「そんなことを言うなら、一体何をお供えしたら主人が
 一番喜ぶんですか」

「それはね、奥さん、あなたのお念仏だよ。
  あなたが『南無阿弥陀仏』とお念仏をお供えしたら、
  仏さまとなった主人が、『あぁ、お前もその南無阿弥陀仏に
  出遇ってくれたのか。
  お前の命も死んでしまいの命じゃなくなったね。
  私と同じ極楽に参って、私と同じ浄土の仏となる
  尊いいのちを生かされているんだね。
  離れ離れになるのではないね、よかったよかった』と
  喜んでくださるんだよ。
  だからね、お仏壇には南無阿弥陀仏をお供えするのが
  一番上等なんだよ」

 と和上さまが仰せになったといいます。
 お仏壇には色々なものをお供えするかと存じます。
  その中で最上のお供えは何か、それは『南無阿弥陀仏』の
  お念仏です。
           山口県防府市 万行寺 石丸 涼道師著


 お仏壇には、生前好きだったものなど、お供えしておられる方が
ありますが、今はもう 仏さまとなられた方です。
一番に喜んでいただくのは、食べるもの飲むものではなく、ただ
南無阿弥陀仏のお念仏だということを、教えていただきました。

          


           私も一言(伝言板)