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『消費税増税と私たち』 佐賀整肢学園理事長 中尾清一郎
| 2014年4月から、消費税が5%から8%に上がり、更に10%まで引き上げられる可能性が高くなった。この春は、住宅や自動車、大型家電製品などの駆け込み需要でモノがよく売れるだろう。そして、4月の増税によって消費者心理は一時的に冷え込むが、現在の「アベノミクス」は、それを吸収するエネルギーを持ち、すみやかに景気は回復基調に戻るとの見方が有力である。 「増税」とは、医療・福祉と並んで国民の最大の関心事である。また、国にとっては増税を集めること、つまり「微税権」こそは国家権力の基盤をなすものである。だから、「微税権」の行使を誤ると、政権の1つや2つは簡単に潰れるばかりか、国家財政を危うくすることもある。言うまでもないことだが、日本の消費税5%は、先進国中最低であり、国際的な「相場」は、20%前後であることを考えると日本は、まだ「伸びしろ」があるのだから、巨額の財政赤字も大丈夫、という楽観論も存在する。 一方、庶民感覚としては、増税は金持ちや大企業から搾り取ればよい、と考える向きもあろう。しかし、富裕層や大企業は一定の重税感を超えると簡単に本拠地を海外に移転させてしまうことを忘れてはならない。それこそ、国富の流失であり、日本の将来を危うくするものである。しかも、企業の法人税の大部分は、優遇経営の大企業が負担しており、日本に、300万社前後あると言われる企業(法人)の大半は、赤字で税金を払っていないことを考えると、金持ち、大企業を目の仇にしても、何の得もないことがわかるだろう。先進国中、日本だけが消費税3%〜5%で収まっていたということは、残りは国民に還元されていた、ということである。 それでも、貧困層や所得格差が広がったではないかとの反論もあろうが、他国の格差社会のひどさは、泰平に慣れた日本人の想像を超えていることを知らなければならない。これからの私たちに求められるのは、人口減少・超高齢化は避けて通れないので、消費税10%〜15%の「中負担」に耐えることである。その代わり、政府や自治体の財政支出には厳しい目を光らせ、政治を他人事にしない賢い市民になることである。 整肢学園にかかわる私たちが注意しなければならないのは、社会福祉法人は、税法上の様々な優遇措置があり、県や国から多額の補助金をもらって楽をしている、という世間の厳しい目があることだ。また、国や地方の財政状況を考えると、社会福祉法人の活動や、内部留保(剰余金、法人の貯金)に対する課税の可能性を考えずにはいられない。それに備えるには、福祉の原点を考える謙虚さと、民間の営利企業ではなく、私たちにしかできない「プロ」としての質的向上に他ならないことに気づいて欲しいと願っている。 |