<AWAY観戦記>  10月24日   対:コンサドーレ札幌
                                      ライター   壽山 知里

    朝9:00から散歩をして寒さに身体を馴れさせ、チームは競技場に向かった。
12:30現在、札幌厚別公園競技場の気温は11.6度、メインスタンドから
見て左から右へ、強い風が吹きぬけていく。
   9月5日の同カード以来、8試合ぶりのスタメン出場となる片渕は「相手DFの
バランスを崩すために、思い切り走るつもり。この一週間、センタリングからシュ
ートまでの流れのある攻撃練習をチームで重ねてきたので、披露したい」と語る。
DFであるキャプテン川前も「ボールをつなぐ・キープする…どちらにするのか、
プレーをはっきりとさせなければならない。全員が2つ目のボールをどれだけ意識
できるかが大切」と、攻撃面での課題を確認する。骨折で欠場した古賀のポジショ
ンには中村が起用され、右サイドには島岡が名を連ねた。
   対戦相手の札幌は、辛うじて来季J1昇格への道がのこっているため、もう一敗
もできない、高いモチベーションで臨んでくる。「“一泡吹かせよう、スタンドを
シーンとさせよう”と、試合前に全員一丸となった」(片渕)鳥栖は、少しも動じる
ことなく、ピッチに進んだ。
  13:03、キックオフ。風下にエンドを取った鳥栖は、グランダーのボールで
パスをつなごうとする。この日の鳥栖は、片渕が最前線でポストプレーや相手DF
を引きつけるプレー、竹元が1.5列目からチャンス場面で思い切り突破、という
形をとる。6分、早速その場面が見られた。中村からのミドルボールを受けた片渕
がドリブルで突破、竹元との壁パスで札幌DFを崩そうと試みる。15分には右タ
ッチライン際で粘った片渕から一旦くさびのパスが中央に打ち込まれ、クリアボー
ルを竹元がループシュート、これはゴールポスト左に逸れた。
  12分、森保が棚田に痛恨のラフプレー、累積3枚目となるイエローカードが容
赦なく出された。この瞬間、チーム唯一全出場を誇っていた森保の、次節出場停止
が決定してしまった。
  15分を過ぎ、両チームとも次第にマイボールを活かせなくなる。オーバーラッ
プしてきた島岡と竹元のパスのタイミングが合わない、森保→片渕と渡ったボール
を中央で受ける選手がいない、「生津とポジションが重ならないように…」(中村)
と意識した中村は左サイドに偏りがち…と、チャンスの詰めが甘い。31分、左サ
イドの裏を取られて池内の突破を許し、ピンチを招くが、ここは井原が確実にクリ
アして一難逃れた。前半は竹元・片渕の1本ずつのシュートのみ、フィニッシュに
なかなか至らなかった。
  ハーフタイムには「スペースをもっと使い、積極的にシュートを打とう、相手のリス
タートに注意しよう」(楚輪監督)、「後半は風下になるのでロングパス
のこぼれ球をきちんと拾っていこう、どんどんセンタリングをして、真ん中にボー
ルを集めろ」(岡田監督)との指示が出た。
  後半、風上に立った鳥栖は、攻守の早い切り替え、スピードある展開で、一気に
チャンス場面が増えた。46分、北内→中村→森保と渡ったボールはセンタリング
を上げられなかったが、北内の縦の動きで相手を翻弄する場面が見られた。52分
には早いリスタート、川前FK→北内→竹元がミドルシュートを放ったが惜しくも
外れた。54分にはカウンターからゴール前で北内がシュートを放ったが外れた。
56分、中村からの左CKを川前がヘッドで流し、生津がボレーシュートを放った
が、これも惜しくも外れた。63分、佐藤陽のオーバーラップからワンツーパスで
受けたボールを中村がシュート、またしても外れる。危険な失点パターンと時間帯
を乗り越えただけに、早く一点を取ろうとする焦りが、フィニッシュの精度にブレ
ーキをかけ、アーリークロスを増やし、中央に固まらせてしまう。札幌の、つまら
ないミスの連発やルーズボールの甘い処理などで、危険な場面はさほど見られなか
ったのが唯一の救いだった。しかし…
  77分、膠着状態となった札幌が、前線に関を投入し、攻撃のリズムを変えよう
と試みた。それが早速、攻を奏してしまった。78分、左サイドから突破した深川
が、島岡らのマークよりも一瞬早くセンタリングを上げる。中央で吉原が待ち構え
ていたが、ボールは鳥栖DFの背中をかすめゴール左隅へと吸い込まれた。何とも
不運なオウンゴールで失点。この直後、この失点シーンとまったく同じような、リ
スタートから右サイドの裏を突かれセンタリングを上げられてしまう、といった、
同じ場面2度も続いた。図らずも両監督の指示通りの場面が見られてしまった。
  1点を追う鳥栖は、中盤の中村・生津に代えて松田・福留を投入、森保・佐藤陽
・松田の3バック、島岡を右ウィング、高さのある川前を前線に上げ、パワーサッ
カーに切り替えた。86分、カウンターから福留→川前と渡ったが、竹元のシュー
トは大きく外れる。焦りがシュートの精度を下げてしまった。ロスタイム、タッチ
ライン際をスローインでジリジリと攻め上がる札幌を、早いクリアで凌ぐのが精一
杯、遂にゴールを割ることはなかった。
  前節・仙台戦に続いて、ノーゴール。攻撃の形が見られただけに、決定力不足は
致命的だ。得点できなければ、勝ちはない。「敗戦」という厳しい現実と「敗因」
を、感情的ではなく、具体的に認識し、修正せざるを得ないだろう。
  地元・佐賀をはじめ、関西・関東、北海道など、全国から掛けつけたサポーター
は、寒さに負けることなく止むことなく、最後まで一丸となって声援を送り続け、
試合後にガックリと肩を落とした選手たちに、労いとともに次節ホームゲームへの
期待も込めて温かい拍手を送った。

<楚輪監督>
  見ての通りの試合。前半はパスミスの連続でリズムを崩した。後半は押せ押せ
  ムードだったが、OWN GOALで負けたのではなく、チャンスがあったにもかかわ
  らず、ゴール前での焦りから、得点できなかったのが原因。
  FWは運動量もあり、トップの片渕と1.5列目の竹元の動きがはまったが、
  得点しなければ合格点は与えられないだろう。中村・生津はそれぞれにこなし
  ていたが、後半、パワーサッカーに切り替えようとしたため、交代させた。
<佐藤陽彦選手>
  どんな形であっても、(得点を)取られたらダメだと思う。危ない場面もあった
  し…悔しいです。
<島岡選手>
  センタリングの精度を上げないことには…まだまだです。
<竹元選手>
  今日は自分なりにリズムはつかめた。パスももらえて、センタリングもかなり
  上がってきた。しかし、ゴールを意識し過ぎて、硬くなってしまっていたかも
  知れない。(得点王は)まだまだあきらめていない。続けていくことが大切。
<片渕選手>
  フィニッシュに神経を使おうと心がけ、前線でコントロールはできたと思う。
  ペナルティエリア内でヘディング、シュートなど、何度もボールを触れたが、
  0点で終わったのがとにかく悔しい。FWは1点でも取らなくては…やっぱり
  今日は“決定力不足”の一言に尽きます。しかし、攻撃の形など、悪くはない
  ので、こういう試合を続けていく事が大切だと思います。次もメンバーに入る
  よう、頑張ります。