<AWAY観戦記> 9月26日 対:モンテディオ山形
ライター 壽山 知里
99年J2の対戦も残すところ9試合、各チームとの対戦も1回ずつとなった。
チーム結成以来、サガン鳥栖はモンテディオ山形のホームゲームで勝利を収めた
事がなく、山形での初勝利に期待がかかる。
期待がかかるといえばもう1点、目下得点ランキングの1、2位を争っている、
鳥栖:竹元と山形:真下のFW対決も見どころ。試合前に「周囲からの得点王への
期待を感じている。まずはチームの勝利が大切だが、(得点王を)狙っている。周り
の選手の協力によるところも大きいし、期待に応えたい。最近は『あと1点入れて
いれば…』と悔やむこともある。確実に点を取っていきたい」と、控え目ながらも
意欲を覗かせる、竹元。「相手も4backだからDFの裏を突くことができるだ
ろうし、両サイドバックの凌ぎ合いになるだろう。」と、楚輪監督。
14:00、キックオフ。「当日のメンバー発表で初めてわかった」(楚輪監督)
ことに、真下の1トップという予測は外れ、パワーとキープ力のあるムタイルとの
2トップで臨む山形に、ディフェンスは気が抜けない。
攻撃では、立ちあがりは左に偏っていたが、15分過ぎから左右をまんべんなく
使うようになる。右の島岡・左の森保がオーバーラップして攻撃にもっていくが、
中盤の組み立てがここ数試合よりいまひとつ不安定で、ボールキープが弱いために
フィニッシュに持ち込めない。生津からの効果的なスルーパスは影を潜め、復帰間
もない古賀はボールに一歩届かない。18分、森保からのロングボールを受けた竹
元が、3人のビハインドを交わしてドリブル突破したが、シュートには至らない。
いつもと何かが違う…と感じた27分、ドリブル突破したムタイルに、川前・佐
藤陽の2人が対応したために、中央にいた真下へのマークが甘くなってしまった。
簡単に出されたラストパスで、簡単にゴールを決められ、0−1。
この得点で真下のスピードが増したため、対応に追われるDF陣。前半だけでオ
フサイドを7本取ったが、いずれも組織的に取ったものではなく、山形の攻撃の勢
いが過ぎたものであった。
30分、井原を軸に、オーバーラップした島岡、中盤の北内と、早いスピードの
パスで攻撃に転じるが、センタリングを慌てるために、山形DFにクリアされる。
サイドに散らすパス、縦へのロングパス、スローインさえも、次第に互いの呼吸が
合わなくなり、パスコースを読まれ、簡単にボールを奪われるようになった。局面
だけの対応や平凡なミスが目立ち、表立って言い合わないまでも、明らかにいらだ
ちを募らせているのが伝わってくる。44分、竹元に2度のチャンスがあったが、
シュートに至らず、山形GK・鈴木にキャッチされた。鳥栖ボールの場面で鳥栖ら
しさが見られないまま、前半終了。
後半立ちあがりも山形の勢いに防戦一方。52分、中央での混戦ボールに岩元が
突進し、ムタイルにボールが渡る。1失点目と同じように気を取られている間に、
一度は高嵜が触ったシュートのこぼれ球を、飛び出した平間に決められ、0−2。
前半に続いて、互いに呼応し合わないパスが相次ぐ鳥栖は、65分、生津に代え
て「中の雰囲気を変えてこい、と言われた(高木)」高木、66分には福留に代わっ
て佐藤大を投入し、中盤は左に高木、中央に北内、右に佐藤大、前に古賀を置いて
今一度立て直しを図ると、フィニッシュには至らないが、次第に攻撃の勢いが甦っ
てきた。前半にはたった1本しか取れなかったCKのチャンスも、7本に増えた。
70分過ぎあたりから自分たちのペースを取り戻した鳥栖に、遅蒔きながらよう
やくチャンスが訪れた。34分、FKのチャンスを得た鳥栖は、DF川前がセット
プレーからの得点を狙うべく、前線へ。FKのボールはクリアされたが、「川前さ
んがしっかりと見えた」高木が、左サイドから前線に残っていた川前へ絶妙なパス
を送り、川前が瞬時にGKの動きを読みつつ、確実にゴールを決めた!1−2。
この得点で勢いの増した鳥栖は、山形が深いディフェンスを張り、ムタイルが交
代してスピードやキープ力が減ったことが読めたため、川前が前線に留まり、井原
がDFのカバーに入り、もう1点を狙うべく、パワーサッカーに切り替えた。前半
たった4本だったシュートも倍以上の10本と、積極的に放った。
集中力、攻撃の勢いが戻った鳥栖。しかし、出足の遅さを挽回できず、追加点は
ついに生まれず、1−2、タイムアップ。得点に期待のかかった竹元には、残念な
がらゴールのみならずシュートも生まれなかった。
残り、8試合。個々が全力を尽くして、チーム一丸となって闘い、自信と勝利を
つかむことが大切だ。今シーズン初めの頃、荒削りながらも勢いを持って試合に臨
んでいた事を、今一度思い出す必要がある。あれから確実に時が過ぎ、経験が積ま
れているのだから…。
<楚輪監督>
今日は長所も欠点も見えてこなかった。漠然と90分間が流れた。
サッカーをしていない。その場凌ぎのプレーが多い。プロの意識に
欠ける試合だった。
Q:川前を前線に置いた理由は?
A:高木・佐藤大を投入した後、FKがあって、セットプレーで上がって
いた川前がゴールを決めたので、パワーサッカーにしようと思い、その
まま前線に置いた。以前にもこの形をしたことがある。
Q:得点王争いをしている真下への対策は?
A:事前にビデオを見た時は真下が1トップ、2列目から平間が飛び出して
いたが、今日(9/26)の時点でムタイルが入っていた。
真下は後ろを向いている時は怖くない。「スピードを止めるように」と
選手たちに指示した。
Q:その真下に得点をされたが…
A:失点は、ウチの集中力がきれたものだった。
<高木選手>
ベンチで見ていた時、左サイドにスペースがあったので、意識してそこに
入り、古賀さんが前に入った。(得点場面については)川前さんが前に
いたのが見えた。自分でもシュート打ったが、入らなくてとても悔しい。
攻めに転じた時のリズムがみんなでつかめると良かったのだが…
<川前選手>
2点とも、崩されて…というより、自分たちのミスで失点した。全体的に
一歩遅い。中盤から当てるボールがなかった。前線にボールを預ければ
何とかしてくれる…ではなく、ペナルティエリアあたりで2つ目・3つ目
の攻撃ができなければいけないと思った。自分が前線に入ったが、本来は
それではマズい。残り試合が少ないが、ホームでの残り試合は全部勝つ。