<AWAY観戦記> 8月28日 対:ベガルタ仙台戦
ライター 壽山 知里
前節、FC東京戦の後半途中でシステム変更した鳥栖は、選手たちも十
分対応できるという手応えをつかみ、今節、ベガルタ仙台戦では、今年初
めてドイスボランチ(ボランチ2人)を置くシステムで臨んだ。これは、
昨年行ってきた形で、4人のディフェンス、2人のボランチ、サイドアタ
ッカーが2人、中央のパサーとFW。
ボランチで井原とパートナーを組んだのは、5月の同カードでボランチ
を務めた関本。リーグ中断中に怪我のため1ヶ月リタイアしていただけに
「良いパフォーマンスをして、チームが勝つ、この両方が大事」と、意気
込みを静かに熱く語る。片渕も久々に遠征メンバーに名を連ねた。
前半早々からボランチは忙しい。仙台に今季途中入団した財前からの前
線へのパスを警戒し、対応にあたる。しばらく防戦だった鳥栖は、8分、
井原→生津へパスがつながり、左サイドから飛び出した古賀が利き足の左
足で豪快にボールをゴールへと沈めた。
高い位置からのプレスをかけ、相手選手のマークの受け渡しなどに配慮
する様子が随所で見られる。仙台のボランチ・ニクソンに果敢にアタック
したり、古賀からのタッチライン沿いギリギリの縦パスを左サイドで受け
たりなど、佐藤大実の豊富な運動量が目を引く。一方、深い位置で守って
いるだけに、攻撃のチャンスが訪れ、全体で一気に押し上げをはかった後、
お互いのタイミングがずれて、良いパスに反応できない場面がもどかしい。
互いに決定的チャンスに至らず、このまま終了…と思われたロスタイム、
ラストチャンスと思われた場面でバックパスが鳥栖DFの裏に入ってしま
い、トップスピードで抜け出した平にフリーで決められた。またも集中の
切れやすい終了間際の失点、1−1で前半を終了。
ハーフタイムに「自分たちのポジションを今一度確認した」(楚輪監督)
鳥栖は、開始直後に主導権を握るが、小さなミスから大きなピンチを招き、
なかなか自分たちのペースが続かない。56分、関本に代えて中村を投入、
1ボランチに戻した。中村はやや下がったポジションで、守備を意識しな
がらプレー。ここのところ途中出場できっちりと仕事をこなしているだけ
に、期待がかかる。次第に右SBの小林がオーバーラップを何度もはかる
ようになり、井原がカバーに入る。
仙台は瀬川を投入し、前線にスピードが増し、両サイドの裏にボールが
入り込むようになった。60分過ぎからは波状攻撃を受け、最終ラインま
で下がった古賀のプレスや、佐藤陽彦のクリアで、辛うじて一難逃れる。
75分、やや疲れが見え始めた佐藤大実に代えて、北内を投入。
延長戦突入を覚悟し始めた85分…中村が期待に応えた。右サイド小林
からのパスが中央で混戦となったが、中村がしっかりと奪い、ドリブルで
交わしながら強烈なシュートを決めた!ハーフラインまで戻って倒れ込み、
折り重なるように仲間からの祝福を浴びた。
この得点が、3連勝を狙う仙台に火をつけてしまった。最後の力を振り
絞って怒涛の攻撃を浴びせてくる。ここで楚輪監督は、満身創痍のFW竹
元に代えて、7試合ぶりの出場となるDF松田を投入、守備固めをする。
程なく、タイムアップの笛が鳴った。どんな形であれ、最後まで全力を尽
くして勝ち取ったこの1勝は大きい。地元・佐賀をはじめ全国から応援に
駆けつけた数十名のサポーターと共に、喜びを分かち合った。<楚輪監督>
「よく勝った」というのが正直な感想。攻めていてもポジションを崩さ
ず戦うことができた。マイボールを失って失点し、後半も危険な場面が2
回あったが、何とか最後まで頑張ることができた。後半のほうがアグレッ
シブに戦えたと思う。
ドイスボランチについては、バランスは良かったと思う。中盤に厚みを
持たせ、決定的なチャンスを多く作ることができるようにと考えた。両フ
ルバックがもっと上がれは攻撃チャンスも増えるが、今までのように4枚
で守る場面がまだ多い。
仙台対大宮戦のビデオで研究したところ、仙台も2枚のボランチだった
ので、今回、我々も変えてみた。サポーターの熱気に後押しされた仙台の
勢いを感じた。(仙台・清水監督は、法政大学で楚輪監督の2年先輩)<井原選手>
(ドイスボランチは)とてもやりやすかった。思い切ってプレーできた。
ボランチが1枚だと最終ラインも辛くなる。関本とは昨年もコンビを組ん
だし、最近の練習でも互いに確認し合った。今後も続けるといいと思う。<川前選手>
ギリギリの闘いだったが、粘りと集中力が切れず、戦えたと思う。守備
にも枚数が増える分、ドイスボランチはとてもやりやすい。一方、前線に
負担がかかってしまったので、今後の闘い方を考えていきたい。