<AWAY観戦記>  8月15日  対:大宮アルディージャ

ライター   壽山 知里  

  大宮公園サッカー場付近は、開場時間の直前に通り雨が降って、ピッチの芝生が
一段と緑あざやかになった。連敗を脱出、久々の無失点試合となった前節の勝利の
真価が問われる大事な一戦。自信と勢いもそのままに、選手達は会場に到着した。
  5月の同カードは、大宮のポストプレーに苦しんだ鳥栖。今回は、大宮対甲府戦
のビデオで相手を研究し、前回の反省を加え、守備に重点を置いた作戦で挑んだ。
右サイドバックには、古巣との3度目の対戦となる小林を投入。
  涼しい風が吹き始めた18:05、キックオフ。予想通り、両サイドバックから
前線の長身FW2人にボールを集める大宮に対して「ゴールラインからハーフライ
ンの間でコンパクトに…」(楚輪監督)という守備的な布陣を敷き、「2つ目のボー
ルを拾う」(楚輪監督)ために中盤を厚くする、明確な作戦をさっそく実行。10分
に佐藤真のパスミスを奪われ、一気にカウンターを浴びたが、センターバックの佐
藤陽が相手より一歩抜きんでて素早くクリアした。川前を中心に、マークする選手
の受け渡しも確実に行い、前節の経験が活きていることがうかがえる。
  一方、攻撃面はなかなか思うような展開ができない。大宮と同じく前線に大きい
ボールを送り、ラインを押し上げようと試みるが、なかなかフィニッシュには至ら
ない。14分、佐藤真がゴール前でフリーでボールを受けたが、一瞬のためらいを
大宮・マークに見抜かれ、チャンスが潰れた。20分、小林からの絶妙なパスを受
けた竹元も、ゴール前でフリーになりつつも、味方のいない右サイドにボールを出
してしまった。コーナーキックもチャンスにつながらないまま、次第に防戦一方と
なっていく。
  40分、前半最大のピンチが訪れた!オフサイドぎりぎりで右サイドを破られ、
ディフェンスの戻りが一瞬遅れた。高嵜が大きく飛び出したがボールは逆サイドに
大きくチェンジ。しかし、横山のシュートが辛うじて外れて、胸を撫でおろした。
44分、中盤で粘った生津からのボールが北内に。身体をひねるようにしてシュー
トを放ったがGKに阻まれた。0−0で前半を終了したが、これも楚輪監督の思惑
通りであった。
  後半開始と同時に、鳥栖は佐藤真に代えて中村を投入、対する大宮は岡山に代え
て平本を投入。この交代が後に、両チームの明暗を分けることになった。
後半に入り、ややラインを上げて攻撃を仕掛ける場面が増えた。中盤では井原が大
宮・マークをチェックし、こぼれたボールへ中村・北内らが素早く寄る。大宮がポ
ストプレーのターゲットを一つ減らした事でボールがもたつき始め、その度に鳥栖
の中盤が奪いにかかる場面が見られる。
  一進一退の展開がしばらく続いたが、66分、その均衡がついに破られた。左サ
イドで得たFKのチャンス。森保からのボールを前線で待つ竹元が受け、一気にド
リブルで持ち込もうとしたその時…ペナルティエリア内で、大宮GK・白井が腕を
つかむような形でファール、鳥栖にPKのチャンスが転がり込んできた!キッカー
は竹元、白井の動きを見て一度フェイクしてから落ち着いてゴール右隅に決めた!
1−0!竹元にとって約1ヶ月ぶりのゴール、得点ランキング首位タイとなった。
この一点が大宮に焦りを生じさせ、次第にプレーにも激しさが増してきた。
  78分、生津に代えて佐藤大を投入。中盤にスピードが増し、攻守の切り替えも
早くなった。監督も、この日のキーワード「2つ目!」を連呼、大きく手を広げて
「ワイドに展開しろ!」というジェスチャーで選手達にコーチングする。終了5分
前から大宮の波状攻撃を浴び、かなり危ない場面も見られたが、最後までゴールを
割らせることはなかった。1点を守りきり、鳥栖が勝利!お盆休みを利用して駆け
つけたゴール裏のサポーターと共に、連勝を喜び合った。
緻密な研究と戦術の徹底で、AWAYゲームを制した鳥栖。この勝利は、大きい。


<楚輪監督>
  大宮対甲府戦のビデオを観て、研究をした。前半は自陣内で守備的に守り、前線
の2人に上がってきた2つ目のボールを拾おうとした。ボールを放り込まれる事を
予測して、引いて守りスペースを消し、層で守ろうとした。(大宮の)くさびを潰す
事ができて良かった。0−0で終了したが、狙い通りだった。選手達はジレンマを
感じたかもしれないが、よく辛抱して守備的に戦ってくれたと思う。
  後半はハーフラインを超えたあたりでボールを取っていこうと指示した。得点に
ついてはもっと取りに行きたかったが、チャンス場面で決めなかったのは痛い。

<森保選手>
  試合前、「引いて守ろう」とみんなで確認し、徹底した。相手がボールを受けて
顔を上げる前にプレスをしっかりしようと心掛けた。中途半端に取られるよりも、
しっかりと守り、落ちてきた2つ目のボールを確実に拾おうとした。攻撃面につい
ては僕もオーバーラップなどで課題が残るが、全体的に守備は良かったと思う。