第926回 たった一日のいのち 口蹄疫の中 誕生した子牛〜

 
平成22年 10月 21日〜

 宮崎の口蹄疫終結の実態 というか 農家の苦しみの記録をテレビの
ドキメンタリーで見ました。
治療法の無い 伝染病である口蹄疫が発生した地域では、感染が広がらないようにと
決められた 範囲内の牛や豚、元気なものまでも すべてを殺してしまう措置が
とられたということです。

その数が あまりにも多いために まずは予防接種をしておいて 順番に殺して
埋めてしまうという、悲しく辛い予防法が取られたということです。
病気が流行していた間は 外部の人はもちろん、マスコミ関係者も その地域内に
入ることが許されなかったために いつもの事件事故のように なまなましい映像は
みることが出来ず、その実態は よくわかっていませんでした。


ところが どういうわけか ある農家の記録が取られており 
それを
 先日放送していました。

白い防護服を着た獣医さんが回ってきて 予防注射をはじめますが 嫌がって逃げ、
泣き叫ぶ子牛たちをおさえ 子牛の名前を呼びながら コメンネ ゴメンネと、
泣きじゃくる飼い主の若い奥さん。
大きな牛も 小さな牛も 身ごもった牛も 一頭残らず、みんな予防注射を
していきます。
お腹の大きなこの牛は 出産予定日が ちょうど殺処分の日にあたるんですよと 
淋しそうにつぶやく若い飼い主のご主人。

残りわずかしかないけど最後まで しっかり面倒見ようなーと、大きな声で自分に
言い聞かせるように。・・・・・・。

 いよいよ殺処分という前日 一日早く、子牛が難産で生まれました。
しかし、息をしていない新生児、ご主人は蘇生させようと必死です。
一日だけでも お母さんのおっぱいを飲もうヨナ。ほれ息をしろ
頑張れヨと 話しかけながら 必死に濡れた体を拭いてやっていました。

やっと息を吹き返した子牛。よかったな 一日だけでも
お母さんに甘えろよ。おっぱい飲めよ。と ・・・・。

次の朝 誕生したばかりの子牛は ご主人に抱かれて 殺処分へ ご主人が
「みなさんに 可愛がられてこの子は 素晴らしい世界に
  いくことでしょう。ありがとうございましたと」挨拶して
トラックは 走り去りました。

どんなにまじめに精一杯生きていても いつ何が起こっても仕方がないいのちを 
生きていることを 一日だけ生きた子牛は教えてくれています。


自分の力だけではなく 多くのいのちに支えられて生かされていることを
味わいながら、この瞬間 瞬間を 精一杯生きていきたいものです。


わずか一日だけしか生きることの出来なかった子牛も精一杯生きたように、
この私も 南無阿弥陀仏とともに 精一杯生かさせていただきたいものです。

そして 南無阿弥陀仏をいただけたことを この世だけではなく 
素晴らしいお浄土があることを、有難く喜ばさせていただきたいものです。


妙念寺電話サービス 次回は 1028日に新しい内容に変わります。


         


           私も一言(伝言板)