第1028回 うらを見せ  〜表を見せて 散るもみ

  平成24年 10月4日〜

良寛さんは、江戸時代の禅僧で、歌人としても有名です。
また、素朴でこども好きであったそうで、次のような
エピソードも残っています。

ある日のタ暮れ時、良寛さんは、こども達とかくれんぼをして
遊んでいました。

日が暮れると、子ども達は、田んぼにうまく隠れた良寛さんを
探し出せないまま、家に帰ってしまったそうです。

あるお百姓さんが田んぼに来ると、そこに良寛さんが、
隠れています。
驚いたお百姓さんが話しかけると、良寛さんは、言ったそうです。
「静かに! そんな大声を出したら、こども達に見つかって

しまうではないか。」と。


 さて、その良寛さん、お念仏をたいへんよろこばれた
方でもありました。お念仏の句を、ご紹介します。

  おろかなる 身こそなかなか うれしけれ
    弥陀の誓ひに あふと思へば

   草の庵に 寝てもさめても 申すこと
     南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏

有り難いですねえ。
また、良寛さんには、辞世の句と呼ばれる句が、
いくつも残っています。それもご紹介します。


  散る桜 残る桜も 散る桜

  形見とて 何か残さむ 春は花 
    山ほととぎす 秋はもみぢ葉

  うらを見せ おもてを見せて 散るもみぢ

   良寛に 辞世はあるかと 人問はば
     南無阿弥陀仏 といふと答えよ

歌ではありませんが、死に臨み、何か言い残すことは
ありませんかと聞かれた時には、「死にとうない。」
とおっしゃったとか。

庶民の中で生きた禅僧であり、念仏者でもあった
良寛さんの信仰・お人柄が偲ばれます。
良寛さんのお墓は、新潟の浄土真宗本願寺派隆泉寺境内にあります。

               岐阜市 正蓮寺  鷲岡 護 師

 妙念寺電話サービス お電話ありがとうございました。
  次回は、10月11日に新しい内容に変わります。



         


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