腎炎

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腎炎とは
腎臓の慢性炎症が続くことを慢性腎炎といいます。さらに腎臓がいろいろの病気で障害を受け、尿中に多量のタンパクを出し、そのために体のタンパク質が少なくなるために、全身の浮腫が出ます。これらの病態をネフローゼ症候群といいます。原因は種々の慢性腎炎ですが、その腎炎の原因もいろいろあります。

腎炎の分類(分類が多い)

腎臓は大きく分けて、尿を漉しとる糸球体組織と、その周りの尿細管と間質から成り立っています。そこで、腎炎には大きく分けて糸球体腎炎尿細管・間質性腎炎とがあります。そして糸球体腎炎の中に原発性と続発性があります。 

原発性糸球体腎炎のなかには世界保健機構(WHO)の分類によると5つの型があります。
1.急性腎炎症候群
2.急速進行性腎炎症候群
3.再発性・持続性血尿
4.慢性腎炎症候群
5.ネフローゼ症候群

尿細管・間質性腎炎には以下の型があります

急性尿細管・間質性腎炎:

慢性尿細管・間質性腎炎:

以上のうち4.慢性腎炎症候群がいわゆる慢性腎炎と呼ばれるもので、その中には以下の型があります。
1.微小変化群
2.巣状(分節性)糸球体腎炎
3.巣状糸球体硬化症
4.メサンギウム増殖性糸球体腎炎:IgA腎症、非IgA腎症
5.膜性腎症
6.膜性増殖性糸球体腎炎
7.高密度沈着物性糸球体腎炎
8.硬化性糸球体腎炎

腎炎の説明と解説

糸球体腎炎とは腎臓の中で尿を漉し不要物を取る糸球体が主に障害を受ける病気です。糸球体の障害のためにそこから血中のタンパク質が漏れ出てきます。血尿やタンパク尿が出現します。

尿細管・間質性腎炎とは腎臓の中で尿細管と間質が主に障害を受ける病気です。ほとんどの腎疾患では尿細管と間質が障害を受けます。

尿細管・間質性腎炎には以下の型があります。腎臓が障害を受け急性や慢性腎不全に至ることもあります。

急性尿細管・間質性腎炎:

慢性尿細管・間質性腎炎:

原因となる疾患として以下のものがあります

薬物過敏性腎炎
細菌感染症:特にO-157は有名です。
腎盂腎炎
腎毒性の薬物:農薬の内服など
尿閉:前立腺肥大症などで、膀胱から尿が出なくなること
自己免疫疾患:SLE、サルコイドーシス、シェーグレン症候群

続発性糸球体腎炎とは何かほかの病気に伴って腎臓も病気になるものです。

原発性糸球体腎炎のなかには世界保健機構(WHO)の分類によると5つの型があります。
1.急性腎炎症候群
2.急速進行性腎炎症候群
3.再発性・持続性血尿
4.慢性腎炎症候群
5.ネフローゼ症候群

 

以上のうち4.慢性腎炎症候群がいわゆる慢性腎炎と呼ばれるもので、その中には以下の型があります。
1.微小変化群
2.巣状(分節性)糸球体腎炎
3.巣状糸球体硬化症
4.メサンギウム増殖性糸球体腎炎:IgA腎症、非IgA腎症
5.膜性腎症
6.膜性増殖性糸球体腎炎
7.高密度沈着物性糸球体腎炎
8.硬化性糸球体腎炎

慢性腎炎の症状

全身の浮腫で、顔や手足がむくみますが、これは疾患がかなり進行しないと気づかないようです。むしろ健康診断でタンパク尿を指摘されて病気に気づく方が多いようです。

タンパクが尿中に多く出るために、尿が泡立ちやすくこのために気づくこともあるようです。


慢性腎炎の検査
診断基準  
必須条件
1)蛋白尿:1日3.5g以上を持続
2)低蛋白血症:血中総タンパクが6.0g/dl 以下、あるいは 血中アルブミンが3.0g/dl 以下

付帯条件
1)高コレステロール血症:総コレステロール250mg/dl以上
2)全身や手足の浮腫
3)尿沈渣中に多数の卵円型脂肪体、 重屈折性脂肪体の検出

慢性腎炎の治療

病態や原因疾患に応じて異なります。
食事療法:繊維が多く、高脂血症を予防するような食事です。腎障害があれば低タンパク食を中心とします。

薬物:ステロイドがまず使用されます。そのほかに、利尿剤、免疫抑制剤、腎性高血圧に降圧剤としてACE阻害剤など


文献

メルクマニュアル 第17版日本語版、日経BP社、2001


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