LOH症候群:加齢男性性機能低下症候群/泌尿器科いまりクリニック、佐賀県伊万里市
第96回日本泌尿器科学会総会、2008年横浜での卒後教育講演から
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       加齢男性性機能低下症候群:LOH症候群とは   

以前から男性更年期障害と言われていた病態があり、いっぽうで加齢男性性機能低下症候群:LOH症候群(Late Onset Hypogonadism in males)と言う病態が有ります。LOH症候群は2005年の国際学会:国際アンドロジー学会、国際老年男性研究会、ヨーロッパ泌尿器科学会で推奨された名称です。高齢男性の性腺機能低下とそれに伴う種々の症状のことです。男性更年期障害については、精神的要素が強く性腺機能低下ですべて説明できるものでは無いようです。そこで、うつ病とLOH症候群の間に男性更年期障害が定義されています。平成19年1月に日本泌尿器科学会と日本Men's Health医学会でLOH症候群診療ガイドラインが作られました。

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LOH症候群の症状

男性ホルモンの標的臓器、つまり作用する体の部位はいろいろ有ります。脳、筋肉、皮膚、毛、肝臓、腎臓、生殖器、骨、骨髄です。その部位に応じて以下のような多彩な症状が出ます。

1. 性欲の低下、勃起障害
2. 知的活動、認知力、見当識の低下、さらに疲労感、抑欝、淡黄などに伴う気分変調、うつ状態
3. 睡眠障害
4. 筋肉の縮小、筋肉量の減少
5. 内臓脂肪の増加
6. 体毛と皮膚の変化
7. 骨減少と骨密度の低下による易骨折性

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LOH症候群の診断

まずうつ病や、男性更年期障害と区別が必要。総testosteronは日本人では加齢してもあまり減らないので、遊離testosteronを指標として使用します。20歳代の成人男子(YAM:young adult men)の-2SDである、遊離testosteron8.5ng/ml以下をホルモン補充療法の治療対象にしています。

遊離11.8ng/ml以下は境界型で、これもホルモン補充しても良い。この場合は50歳以上の20%、60歳以上の50%が当てはまる。

遊離11.8ng/ml以上はホルモン補充せずに、対処療法を行い、効果が無い場合は心療内科や精神科に相談する。勃起不全にはバイアグラなどを処方します。

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LOH症候群の治療

前立腺癌の無いことを確認して、ホルモン補充療法を行う。PSAを調べる。エナント酸testosteronを筋注。あるいは胎盤性性腺刺激ホルモンHCGを筋注。一応1年間行い再評価して継続するかどうかを決めます。

ホルモン含有軟膏を塗る。ホルモン含有軟膏:トノス、大東製薬工業は市販されており、薬局で購入できます。

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