佐世保前立腺癌講演会:長崎県医師会生涯教育講座

平成27年3月26日佐世保市ホテルリソルにて開催され、院長が出席しました。長崎大学泌尿器科、酒井英樹教授が特別公演:去勢抵抗性前立腺癌CRPCの治療がありました。
最近発売された新しいホルモン製剤2個と抗ガン剤についての話でした。男性ホルモン依存性の発育を行う前立腺癌は、ホルモン治療により男性ホルモンの少ない環境でも生き延びるために、ホルモンに対する感受性を増やし、ホルモン受容体をさらに敏感にして男性ホルモンに似たタンパクでもの反応するようになり、ホルモン受容体数を増やすようになる。いっぽう、男性ホルモン類似物質(別のリガンド)を産生するようになる。このように癌は逆境でもたくましい。
CRPCでも女性ホルモンが弱いが奏功する症例があり、プロセキソール(エチィルエストラディオール)が10から15ヶ月間効き、71%の患者でPSA増加を抑制する。ステロイドも有効であり、ステロイド投与で副腎のアンドロゲン生成をフィードバック作用で抑制し、CRPCに有効。QOLが改善する。ハイドロコルチゾンよりもプレドニゾロンが強く、さらにそれらよりもデキサメサゾンが強いので、この順番に投与することで期間を稼ぎ、ステロイドの副作用も少なくできる。
ドセタキセルは最初TAX327テストで発表され、3週間ごとの75mg投与で生存率を有意に改善した。これ以降ドセタキセルがCRPCに広く使用されるようになった。

エンザルタミドENZは前立腺ガンの男性ホルモン受容体を阻害する作用があり、はじめAFFIRMテストで1200人の患者に使用されたところ、生存率を4.8ヵ月延長した。さらにQOLが10ポイント向上したことが大きく評価。

アビラテロンはCYP17という酵素を阻害し男性ホルモンの合成を抑える。この時ステロイドも合成阻害するので、同時にステロイドの内服も必要になる。はじめCOU-AA-301テストで1200人に使用され、同薬+プレドニン5mgと、プラセボ+プレドニン5mgに比べて生存率を有意に6.6ヵ月延長できた。

ASCO米国腫瘍学会の産婦人科泌尿器科疾患分科会(Genito-Urology)での講演で、アビラテロンのドセタキセル前の治療についての研究、302-studyではアビラテロン+プレドニン5mgは、プラセボ+プレドニン5mgに比べて生存率を5.2ヵ月延長できたが有意差無かった。しかし、画像上での非進行期間を8ヵ月延長でき、ドセタキセル治療までの期間を9.7ヵ月延長できたことは大きかった。

ASCOEU2014 PREVAILtestでは転移の有るCRPC1700人にENZとプラセボを投与し、生存率50%では2.2カ月間の有意な延長が有った。さらに画像上での非進行期間を17ヵ月延長でき、QOLのFACT-Pの5つすべての要因において有意差に優れていた。

交叉耐性:エンザルタミド、アビラテロン、ドセタキセルとの間には交叉耐性が有るようだ。エンザルタミドの後でアビラテロンを使用すると効果が少なくなり、その逆の順番ではさらに少なくなる。有意差は無いが、エンザルタミドの後でドセタキセルを使うと有効率が30%、プラセボの後でドセタキセルを使うと有効率が53%。

ステロイドはQOLを向上する良い薬であるが、副作用も大きいので、なるべく使用量を減らしたい。ステロイドを中止するとまず倦怠感が出現するので、斬減するほうが望ましい。副腎性の男性ホルモンが前立腺癌に重要であり、ステロイド投与で視床下部、脳下垂体で副腎の男性ホルモン産生フィードバックが起こることで、男性ホルモン産生が減少する。ステロイド(グルココルチコイド)は構造が男性ホルモンと似ているのでビカルタミドやフルタミドのような受容体をブロックする薬を続けているとPromisucuityを生じ、グルココルチコイドにも結合するようになる。抗アンドロゲン剤自体がリガンドとして作用することにより前立腺癌の進行を亢進させてしまうアンドロゲン除去症候群。

前立腺癌にはまずホルモン治療を行い、これが15ヵ月奏功するので、次にエンザルタミドを行い、その次ぎにステロイドを必要とするアビラテロンを行い、最後にドセタキセルを行えば、ステロイドの使用料を少なくできる。

前立腺癌は男性ホルモンを必要とするので、ホルモン治療の間に少しの男性ホルモンでも生き残れるように、男性ホルモンに敏感になる(受容体を活性化する)、男性ホルモンに似たものでも反応する(受容体に結合できる)、男性ホルモンを産生するようになる。癌はしぶとくてたくましい。

佐賀県透析医部会学術講演会:ADPKDの病態生理と新たな治療戦略

平成27年3月19日佐賀市ホテルニューオータニにて開催され院長が出席しました。東京女子医大の土谷健教授による講演が有りました。

ADPKD(Autosomal dominant polycystic kidney)常染色体優性嚢胞腎にはPKD1とPKD2があり、ADPKD1の方が患者が多くて、重症度も大きい。ADPKDの本態は線毛病(ciliopathy)、腎の尿細管の一部の線毛に付着するタンパク質異常の為にその部位の細胞が異常に増殖し、嚢胞状になり嚢胞内の分泌が亢進してさらに嚢胞が増大する。このようにして尿細管の一部が大きくなり嚢胞状になる。全ネフロンの数%の異常に過ぎないので、先天性異常にしては比較的末期まで腎機能が保たれている。この時嚢胞に流入する栄養血管も大きくなるのでどんどん嚢胞が発育する。ciliopathyにはtwo hit theoryがあてはまり、異常ゲノムにもう一つ別の異常ゲノムがくっついた時に発現、発症する。このために異常の差異が大きく変化に富む。

ADPKDは少しづつ進行しており、Crのみで経過を追っていると本当の進行具合が判りにくいので、腎体積の増加を見る必要あり。腎体積がゆっくりと平均8年で55%増加してゆき、かなり大きくなった所でCrが急に増える。その時には腎不全になっており、その手まで治療する必要が有る。しかし、今までは治療の手だてが無く外来は暗かった。今はサムスカが有るので外来が明るくなった。ADPKDでは高血圧を30から80%に合併して、そのうち60%は早期から合併有り。35歳以下で高血圧の合併は蛋白尿と共に腎不全の大きな危険因子。ADPKDでは脳動脈瘤は4から12%に合併しており、一般人の1%より多い。ADPKDでは普通破裂しにくい4mm以下の小さな脳動脈瘤でも破裂しやすいが、しかし、高血圧との関連は無かった。

サムスカはバソプレシンが腎に作用するV2受容体を阻害して、尿細管からの水の再吸収を抑制する。TEMP試験ではADPKDに60mgから始めて120mgマでのサムスカを投与した。ADPKDの進行を抑制できた。腎臓痛を押さえることも出来た。大きさはMRIやCTで簡易測定法で縦×横×高さ×円周率÷6で得られる。入院でのサムスカ内服による利尿があり、多い患者は1日目に9000ミリの尿が出た。このために夜間多尿が有り、多尿頻尿になる為、多忙な社会人、学生や児童に使用しにくい。

院内勉強会、3月分 医療安全とタケキャブと胃潰瘍について

平成27年3月17日院内待合室で開催され今回は武田薬品工業佐賀営業所の有馬淑子第4チームリーダー氏による講演で、医療安全とタケキャブと胃潰瘍について勉強しました。四季のご飯紘のお弁当が有りました。

医療分野におけるヒューマンエラーについて、ヒューマンエラーは人間の特性と環境とのミスマッチによって生じる。人間の生物学的特性、認知的特性、社会心理学的特性と環境(機械、手順書、チーム、教育システム)とがうまく合致していない時(ミスマッチ)に生じる。このミスマッチを無くすことがエラーの予防になる。このためには1,当事者の能力を高める、2,当事者を中心にしたシステムを作る。

人間の生物学的特性、認知的特性、社会心理学的特性を訓練によって変えてエラーを無くす。

従来のPPIは強酸下活性を発揮していたが、タケキャブは強酸を要しないで活性化するので作用の発現が早い。10mg剤は逆流性食道炎や胃十二指腸潰瘍に対して長期の予防投与が出来る。

伊万里有田地区医師会学術講演会:糖尿病

平成27年3月13日伊万里市迎賓館にて開催され院長が出席しました。高齢者の糖尿病では、目標とするHbA1Cを8.5以下にするくらいでよい。

佐賀大学泌尿器科セミナー

平成27年3月10日佐賀市マリトピア、シャンリーにて開催され院長と副院長が出席しました。尿細胞診について佐賀大学泌尿器科、徳田雄治講師が講演しました。徳田雄治講師は4月から大学を辞めて久留米の新古賀病院に転勤する予定であり、今日が送別会になりました。佐賀大学から教授、助教授、医局員、真崎前教授、倉富君、高木君、佐藤君2人、中尾先生、牧野君、中尾君、中村君、西村君らが参加して盛会でした。

尿細胞診での診断専門医が少なく、泌尿器科では日本に3人しかいない。剥離して尿に出た細胞が古くなると診断できないので、新しいうちに固定する。低悪性度の膀胱癌は癌細胞が剥離しにくいが、高悪性度で浸潤性膀胱癌は癌細胞が剥離しやすいので、低悪性の一般的な膀胱癌は細胞診で偽陰性になりやすい。内科医からの尿細胞診の以来が大部分。血尿は尿細胞診を行うと言うガイドラインが有るようだ。尿細胞診のレポートをよく読んで欲しい。検査に提出する時には申し込み用紙に患者の状況を詳しく書いて欲しい。尿細胞診の分類は各国で異なる。日本では7段階分類。1,2,3a,3,3b,4,5。

佐賀県前立腺癌検診協議会講演会

平成27年3月5日佐賀市マリトピアにて開催され院長が出席しました。今までの検診の総括と歴史、現状、今後の方針について会長の佐賀大学泌尿器科、魚住二郎教授が講演しました。

何歳まで生検を行うかについて、Lancet Oncol,2014:15,e404に報告が有り、8項目で点数化して3群に分け、元気な患者のみ生検すると言うもの。1、経口摂取について、食事摂取の非常に少ない方を0点、食事摂取が良い方を2点、中間を1点。2,過去3カ月間の体重減少が3キロ以上を0点、不明を1点、1から3キロを3点、減少無しを3点、3,移動について、ベッド上か車いすのみを0点、室内のみを1点、外出できるものを2点、4,認知症について高度の認知症あるいはうつ状態を0点、認知症無しを2点、中間を1点、5,BMIが19以下を0点、19から20.9を1点、21から22.9を2点、23以上を3点、6,日に3種類以上の薬を飲んでいる方は0点、飲んでいない方は1点、7,健康度を同年と比べてどう思うか、劣っているのを0点、不明を1点、同じ位を2点、より良い場合を2点、8,年齢85歳以上を0点、80から85歳を1点、80歳以下を2点、以上17点満点で、14点以上を生検する。

佐賀県前立腺癌検診の沿革:92年から伊万里検診の一環としてPSAを測定していた。初めは50歳代で、PSA3.1以上を陽性としていたが、2002年以降は今のような検診体系になった。PSA4.0異常を陽性、2次検診を医大以外の他施設で追加。2003年に本協議会を発足し、今に至った。PSA2.0以下の方は今後数年以内に前立腺癌になる可能性は非常に少ないので、毎年測定しなくて良いとした。1次検診と2次検診の間に5%位はPSA値の解離が有りうる。PSA測定で市販の濾紙による血液1滴の検査法を血清の検査法と比べたが一致しており、濾紙法も信頼性のある検査法としてよい。 

厚生労働省のPSA検診に対する意見と日本泌尿器科学会との意見の相違。2009年の米国PLCO試験の結果検診の有意差無し。同年ヨーロッパのERSPC試験結果では死亡率に有意差有り。ERSPC試験結果に厚生労働省が反論し、スエーデンの結果が多い。スエーデンの検査が長いのでデーターに信頼性が有り、他の国は観察期間が短い。厚生労働省などの役所は誤謬を認めない。無理な反論をする。厚生労働省は他の癌検診には有意差を認めるのに前立腺癌では意固地になってなぜか有意差を認めない。たとえば肺ガン検診では、胸部単純写真と喀痰の細胞診をしているが、これでは早期肺ガンが判らないと言うことで米国ではもう行われていない。しかし、日本ではい未だに行われている。

今後の課題としては、まだ50歳から70歳代の全人口の20%しかPSA検診率を受けていないのでもっと多くの方に受けてもらう。2次検診率が低く50〜60%なのでもっと増やす。PSA10以上の方の2次検診受診を増やす。PSA10以上では70%に癌が見つかり、10以下では癌が僅か10%くらい。これから医療費や高価な薬が増えるので、早期発見で総医療費を節約する。

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佐賀県医師会日医生涯教育講演会:

平成27年2月21日佐賀市医師会センターにて開催され院長、副院長が出席しました。佐賀大学産婦人科、横山正俊教授による講演:子宮頸癌の現状と予防HPVワクチン、日本医師会の松原謙二副会長による講演:医療事故調査制度について、がありました。

第11回夜間頻尿を考える会

平成27年2月14日福岡市エルガーラにて開催され院長が出席しました。北大循内、筒井裕之教授による講演:循環器内科と夜間頻尿などが有り、有意義な講演会でした。千歳空港が雪の為に午前中は飛行機が飛ばず、遅れて到着しました。

夜間頻尿の原因は2つに大別され、1,夜間多尿、2,膀胱の蓄尿障害。夜間頻尿の原因のうち夜間多尿が75%を占める。交感神経の活動は昼に活発で夜間は不活発になる。高齢者では交感神経の活動が比較的活発であり、その為もあって血圧が高く動脈硬化も多い。加齢によって体の水分量が減り、体脂肪が増え、筋肉が減り、体が乾燥してくる。夜間多尿とOABと睡眠障害とで夜間頻尿が起こる。心不全は70代の男と80代の女に多い。かくれ心不全も多い。心不全とは左室の駆出量の低下も有るが(HF+rEF)heart failure with reduced Effective Flow、心拍出量が減っていないでも肺性高血圧のように静脈圧が高い場合にも起こる(HF+pEF)。どちらも症状は同じ。低心拍出症状の息切れ、易疲労性と臓器うっ血症状のむくみ、体重増加、昼の尿量減少と夜間多尿が有る。細胞間質にたまった水分はなかなか血管内に戻らない。心不全の所見として、3音、捻髪音、水泡音、ゼイメイ、頸静脈怒張(半座位で診る)、足首内側のにもっとも浮腫が生じやすい、pitting edema、BNPは日本人が発見したペプチドで、元々は血行動態を改善し、血管拡張作用や、利尿作用を有し、心室の負荷で増加する。100以上で心不全の可能性が有り、200以上で心不全の可能性が大きいという意味がある。塩分負荷は心不全のはっきりとした増悪因子。心不全では塩分制限が絶対。塩分制限を自覚していても実際には摂取量は意外に多い。食品メーカーも減カロリーは売れるが減塩は売れないと知っている。食品成分表のNa含有はその2.45倍でNaClに換算できる。British J Medicine 2010, vol104:1212-1221によると12万人の調査で水分を多く飲んでも脳梗塞と心筋梗塞の死亡率は有意差無し。日老居誌、2005、42;557−563によると水分を多く飲んでも脳梗塞と心筋梗塞を予防できると言うエビデンスはなかった。ループ利尿剤ラシックス、ダイアート、ルプラックの半減期は20分、160分、120分で作用時間はそれぞれ6、12、8時間であり、使い分けが出来る。ピオグリダゾン(アクトス)Na貯留が有り、体液量が増えるので、心不全には使いにくい。NSAIDSやCoX2阻害剤も同様に体液貯留作用が有り、心不全には禁忌。

夜間頻尿にはいろんな内科の疾患が関与している。肥満では夜間頻尿が多い。メタボの因子が増えると夜間頻尿も増加する。一般的にはアンケートでも不眠と夜間頻尿は病気と見なす人が少ない。夜間頻尿は死亡率と関係があり、睡眠時間が長い人と短い人は死亡率が多い。4年間の追跡調査では、夜間頻尿より不眠の方が難治。

夜間頻尿を増やす要因:内科疾患と年齢、男女加齢と共に有意に夜間頻尿は増加。睡眠時無呼吸症候群で夜間頻尿が多い。

夜間頻尿には行動療法がよい。散歩、下肢挙上(20分以上)、ストッキング(夕方3時間でもよい)、マッサージ、メタボドミノを防ぐ為に上流での治療が必要。

佐賀県透析懇話会

平成27年2月12日佐賀市アバンセにて開催され透析室スタッフ5人と院長が出席しました。在宅腹膜潅流と病診連携についての講演が有りました。

伊万里有田地区医師会学術講演会:背椎からみた骨粗鬆症の診断と治療

平成27年2月4日伊万里市ロイヤルチェスターにて開催され院長が出席しました。岸川整形外科、岸川陽一院長による講演:背椎からみた骨粗鬆症の診断と治療が有りました。脊椎圧迫骨折の診断には、身長の低下をみる。身長の低下は両腕の長さarm spanと身長との比を計測すれば身長の低下が判る。治療はマッケンジー法による運動療法が第一で、次ぎに薬。骨代謝マーカの治療薬による変化を見て、治療薬の選択についての説明が有った。1個の脊椎圧迫骨折は次の脊椎圧迫骨折を生じる危険因子となる。初期の安静、非負荷安静が良い結果をもたらし、早期離床によるリハビリはまだ治癒しないうちに更なる脊椎圧迫骨折を生じる可能性が有る。圧迫骨折で縮んだ椎体も、臥位になれば椎体間が広がる。このまま治癒すれば椎体の圧迫による短縮が防げる。立位と臥位でのMRIを比較する。

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超高齢社会でのBetter Lifeを考える会

平成27年1月29日佐賀市ホテルニューオータニにて開催され院長が出席しました。佐賀大学の精神科、溝口義人講師と、同泌尿器科の野口満准教授による講演が有りました。

高齢者のアルツハイマー認知症では、アセチルコリン神経の放射繊維が減少している。能から脊髄などの投射にはアセチルコリン神経の放射繊維がじゅうようであり、レビ小体形の認知症ではすべてのアセチルコリン神経の放射繊維が減少。高齢者による仮面うつ病では身体症状が前面に出て、うつ病の診断が遅れることが多い。

佐賀大学泌尿器科による各種の講演や研修会で排尿障害の診断、治療、介護について啓蒙活動を行っており、さらに、ネットでも佐賀排泄講座で啓蒙しており、多いに利用して欲しい。

研修報告書
病棟 吉田 彩香
第39回 腰痛予防対策講習会
日時:平成27年1月20日
場所:佐賀県労働基準協会

〈研修内容〉
職場における腰痛問題は古くて新しい労働衛生上の問題といわれており、業務上疾病に占める腰痛の発生件数の多さがよく引き合いに出されます。厚生労働省の「業務上疾病調」によると、休業4日以上の業務上疾病の中で、腰痛の発生に繋がった業務中のエピソードがはっきりしている「災害性腰痛」の発生件数をみると、過去から現在まで一貫して、「業務上疾病」の約6割、「業務上の負傷に起因する疾病」の約8割近くが「災害腰痛」によるものとなっています。

*腰痛発生に影響を与える要因
①動作要因
・重量物取扱い・人力による人の抱え上げ・長時間の静的作業姿勢・不自然な姿勢
②環境要因
・振動・温湿度・床面の状態・照明・作業空間、設備の配置・勤務条件
③個人的要因
・年齢及び性別・体格・筋力・既往歴、基礎疾患
④心理的要因
・仕事への満足感、不満感・上司や同僚からの支援不足・職場での対人トラブル
・仕事上の相手先や対人サービスの対象者とのトラブル・過度な長時間労働 等

*介護・看護における腰痛対策
①作業の実施体制
対象者を人力で抱え上げざるを得ない場合、できるだけ適切な姿勢にて身長差の少ない2名以上で作業する。人員確保。適正配置
②作業環境の整備
温湿度、照明。段差解消、機器や設備の配置 等。
③作業姿勢、動作の見直し
・抱え上げを避ける
全介助の必要な対象者には、リフト等を積極的に使用することとし、原則として人力による人の抱え上げは行わない。
対象者に適した方法で移乗介助を行う。
・不自然の姿勢を避ける
ベッドの高さ調節-労働者が立位で前屈にならない高さ
位置や向きの変更、作業空間の確保
スライディングシート等の活用
・不自然な姿勢を取らざるを得ない場合
身体を支えることで腰部にかかる負担を分散
ひねりの程度を小さくする、不自然な姿勢をとる頻度及び時間を減らす
④健康管理
長時間労働者、夜勤従事者、腰痛を有する労働者への措置
健康管理の実施(健康診断、腰痛予防体操、職場復帰支援)

〈講習会に参加して〉
厚生労働省より「職場における腰痛予防対策指針」というものが出されていることを今回初めて知り、医療・福祉分野において腰痛発生件数が大幅に増加していることから2013年には19年ぶりにこの指針が改正されたと聞き驚きました。
今回講習会で得た知識を思い出しながら移乗時の介助等、自分にも患者にも負担や怪我のないように行っていきたいと思います。

院内勉強会、1月分 口腔ケアについて

平成27年1月20日院内待合室で開催され今回は中外製薬佐賀営業所の河谷泰吏氏による講演とビデオの供覧で、口腔ケアと誤嚥性肺炎について勉強しました。

ジェブタナ発売記念講演会

平成27年1月10日福岡市タカクラホテルにて開催され院長が出席して勉強しました。去勢抵抗性前立腺癌の最新治療薬として発売されましたが、骨髄抑制作用が強く、初回投与で発熱性好中球減少症(FP:febrile pancytopenia)を生じ、死亡した症例が5人出現しており、慎重に使用する必要が有ります。そこで、使用に先立ち使用できる場合かどうかを判定する患者選択の基準が決められました。緊急時に対応できる医療機関で、入院の上、あらかじめGCSF製剤(ジーラスター)を使用し、発熱時には広域抗菌剤の使用などの注意点が有りました。

LED照明への変更、電力の節約の為に

平成27年1月、去年から少しずつ院内の蛍光灯をLED照明に変更しております。病室、病棟詰め所から始めて、事務室、外来を変更しました。1月11日は透析室の一部と待合室をLED照明に変更しました。

開院し20年を過ぎるといろいろな所や物が古くなり傷んできます。そのつど修理して交換しております。

風邪の流行

平成27年1月、伊万里市でも風邪が流行り、泌尿器科いまりクリニックの職員も風邪やインフルエンザなどで休む場合が多くなりました。

謹賀新年

今年もよろしくご指導下さい。平成27年元旦

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