がん食事療法

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不思議なことにがんの種類や進行度にかかわらず、数人の患者は末期と言われてもそのまま長期間生存しているようです。いっぽうで、末期癌であってもなぜか自然治癒している患者がごく僅かですが居るようです。その方達に共通していることは、明るい前向きな性格で居ると言うことと、野菜を中心とした食事療法を行っていると言うことかもしれません。

Care Net2016年3月21日によれば、菜食でガンや心臓病の発生を減少できたと言う報告が有ったとされています。医科に記事を貼り付けます。ベジタリアン1)ダイエットは虚血性心疾患とすべてのがんの発症および死亡リスクを、また、ヴィーガン(完全菜食主義)2)ダ イエットはすべてのがんの発症リスクを有意に低下させることが、イタリア・フィレンツェ大学のMonica Dinu氏らによるメタ解析で明らかになった。Critical reviews in food science and nutrition誌オンライン版 2016年2月6日号の報告。ベジタリアンおよびヴィーガンダイエットの有益な効果は、すでに報告されている。

 本研究では、ベジタリアン/ヴィーガンダイエットと、慢性疾患のリスク因子、すべての原因による死亡、心血管疾患の発症および死亡、すべてのがん・特定のがんの発症および死亡リスク(大腸がん、乳がん、前立腺がん、肺がん)との関連を明確にする目的でメタ解析を行った。

 文献データベースは、MEDLINE、EMBASE、Scopus、The Cochrane Library、Google Scholarを用い、包括的な検索を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・横断的研究86件と前向きコホート研究10件を解析対象とした。

<横断的研究の解析結果>
・ベジタリアン/ヴィーガン群は雑食群よりも、BMI・総コレステロール・LDLコレステロール・血糖値が有意に低下した。

<前向きコホート研究の解析結果>
・ベジタリアン群の虚血性心疾患の発症および/または死亡リスク(RR 0.75、95%CI:0.68〜0.82)とすべてのがん発症リスク(RR 0.92、95%CI:0.87〜0.98)は、雑食群よりも有意に低下したが、心血管疾患・脳血管疾患の発症および死亡リスク、すべての原因による死亡 リスク、がんによる死亡リスクに有意な低下はみられなかった。また、特定のがんの発症および死亡リスクとの間には有意な関連は認められなかった。
・ヴィーガンのみを対象とした解析では、研究数が限られているものの、すべてのがんの発症リスクが雑食群よりも有意に低下した(RR 0.85、95%CI:0.75〜0.95)。

・以上の結果より、ベジタリアンダイエットは、虚血性心疾患の発症および/または死亡リスクを25%低下、すべてのがん発症リスクを8%低下させ、ヴィーガンダイエットは、すべてのがんの発症リスクを15%低下させることが示された。(以上Care Net2016年3月21日から貼付)

泌尿器科いまりクリニックでもがんの食事療法を行っています。食事療法は済陽先生の方法を参考にしております。平成23年春

アメリカで出版されていた、コリンキャンベル博士のThe China Studyの訳本:葬られた第Uのマクガバン報告、が平成23年1月に出ました。がんの食事療法の有効性が疫学的、動物実験的に裏付けられていました。がんの食事療法が神頼みや思い込みでは無く、科学的な正しい方法であると言うことが書いて有ります。要旨は、癌の治療には全粒穀物を中心とした植物性の食事がとても有効ということが、疫学、動物実験、大規模疫学調査で判明しました。卵や牛乳、魚などの動物性食品を出来れば食べないほうが良いようですが、もしも動物性食品を食べる場合でもカロリーベースで10%以下であれば、癌の発育を抑えるようです。

癌食の記録 http://plaza.rakuten.co.jp/ganshoku/:ガン患者さんの奥さんが書いているプログ。癌の食事療法に大いに参考になり、また同時に励まされる大切なプログ。ご主人の大腸ガンの治療に毎日食事でがんばっている癌ポチさんのとてもけなげな姿に感動します。癌食のイロハがわかりやすく書いてあります。

癌食について院内勉強会で講演しました。講演内容を見る。

さらに、癌食の効果について検討し、平成27年6月、伊万里薬剤師会にて発表しました。以下に要旨が有ります。

いまりクリニックの癌食
癌食症例 H23年から平成27年6月まで
患者65人 男性47人 女18人 73.6+-11.3歳
対症疾患 
  尿路上皮癌 24人
  前立腺癌 20人
  その他の癌(食道、胃、腎、陰茎)7人
  良性疾患 14人
    慢性腎炎、ネフローゼ、糖尿病など
有効とは、癌や転移巣の縮小、進行の抑制、延命効果が明らかに有ったと想われる症例としました
結果:尿路上皮癌 24人中有効6人(25%)
   前立腺癌 20人中有効6人(30%)
   その他の癌(食道、胃、腎、陰茎)7人中有効2人(29%)
   良性疾患 14人中有効8人(57%)

症例1
76歳 男性
22年10月胃部分切除、進行胃癌で転移あり
23年6月右の水腎症、後腹膜転移巣の増大
平成23年7月下旬から11月下旬まで入院し、癌食を続けた。腎周囲の後腹膜転移巣がほぼ消失。肝転移は不変。その後、癌食が嫌になり退院。余生短い、好きなものを食べたい。と言う希望有り、癌食終了。
縮小した転移巣と肝転移巣が再度増大。平成24年3月死亡。

症例2 56歳男性
H23.7.20 初診 PSA 599.58 生検で前立腺癌、多発骨転移、セカンドオピニオンで九大受診し予後3年指摘された。すぐに癌食とホルモン治療、PSA0.03
その後食餌療法のために9回入院、現在も元気、転移巣は消失


症例3 83歳男性
H26.3月食道小細胞癌、意気消沈していた
H26.5月から入院食事療法、緩い入院で、外出・外泊はかなり自由。
抗がん剤を使用せず、癌食のままで最後まで緩和ケアのみ、
短い時間を前向きに生活することができた。H26.11.26死亡


癌食の印象
ある程度効果があるが、決定的ではない。継続には周囲の協力と、強い意志が必要。プラセボ効果もあり得る。玄米菜食のみでは長続きしにくいので、全粒粉のパンや麺類などを使って料理に変化、工夫を。
自分で自宅できる治療、末期でも希望が持てる。

泌尿器科いまりクリニックでのがん食事療法の概要です。入院患者さんに提供しております。

スライドの治療成績は済陽医師のものです。

 

がん治療食 済陽式食事療法 食事指導により進行がんの6割改善

がんを防ぐ8箇条
1 限りなく減塩(ほぼ無塩)
2 四足動物は食べない
3 野菜・果物をたっぷり摂る
4 胚芽を含む穀物と豆類を食べる
5 ヨーグルト・きのこ・海藻を食べる(泌尿器科いまりクリニックではヨーグルトの代わりに豆乳を出しています)
6 レモン・はちみつを摂る
7 油はオリーブ油かごま油
8 水はミネラルウォーター(自然水)

1.限りなく減塩
魚介類や海藻に含まれるもので十分
調味料による塩分は不要
※漬け物 塩蔵品 練り製品やハムなどの加工品の使用禁止

2.動物は食べない
※がんの発生・悪化を促す要因 3.野菜・果物をたっぷり摂る
抗酸化物質 ポリフェノール フラボノイド カロテノイド ビタミンC 葉酸
 ◎発がんの要因となる活性酸素を除去する働き
     消化力・免疫力を高める
3.野菜・果物をたっぷり摂る
がんを抑制・改善するには細胞の
 ミネラルバランスを整えることが不可欠

 減塩+カリウムを補う(生の野菜・果物の摂取)
 
 ジュースにする
   野菜と果物4、5種類を組み合わせ(青汁)
   一日1.5〜2リットル目安

4.胚芽を含む穀物と豆類を食べる
主食となるごはんは、玄米や胚芽米、パンなら全粒小麦で作ったもの
大豆は良質なたんぱく質の供給源
 豆腐、納豆など大豆製品を食べましょう

5.ヨーグルト・きのこ・海藻を食べる
乳酸菌の働きで悪玉菌を撃退
 ヨーグルトの摂取…一日300g

免疫力賦活物質を取入れる
 きのこと海藻の摂取

6.レモン・はちみつを摂る
体内のミネラルバランスを適切に保つ

減塩と並んでクエン酸回路が健全に機能することが重要

砂糖の代わりにはちみつを
7.油はオリーブ油かごま油
なるべく油は控えるが、使うのであれば
酸化しにくい良質な油を使う
トランス脂肪酸にも注意

8.水は自然水・ミネラルウォーター
清浄な環境の自然水を飲む
できればナチュラルミネラルウオーター

10年間における食事療法の治療成績  済陽医師の成績です
前立腺がんに有効な食材
トマト→ポリフェノール・リコピン

大豆→イソフラボン

 ◎8箇条が条件

栄養量

常食:エネルギー1800Kcal、たんぱく質60グラム、脂質40グラム、塩分10グラム

がん治療食:エネルギー1400Kcal、たんぱく質40グラム、脂質30グラム、塩分4〜6グラム

当院の食事の材料
松浦の里…玄米 野菜 果物 卵 生椎茸 豆類 小麦粉 米粉 玄米味噌
まつばや…魚 きのこ きび砂糖 不足分の補充
片岡精肉…肉類
西岡醤油…本醸造醤油 本みりん 
九州食品…伯方の塩      
新鮮な材料 誰が作ったのかわかる

がん治療食 朝食
玄米ごはん 120g
味噌汁(減塩)
きゅうり和え物
冷や奴
野菜ジュース 200g
ヨーグルト 100g

がん治療食 昼食
玄米ごはん 120g
豆腐と春雨スープ煮
蓮根金平
野菜ジュース 200g
ヨーグルト 100g 

がん治療食 夕食
玄米ごはん 120g
グルテンミートや車麩と根菜の煮物
冷や奴
グルテンミートそぼろ煮
果物
青汁 150g

参考文献

1.済陽高穂:ガンが消える食べ方ガンを防ぐ生き方、再発1割以下!ガン新治療法!2011、静山社
2.済陽高穂:ガンが消える、ガンを予防する食事ノート、2011、永岡書店
3.済陽高穂:今あるガンに勝つジュース、2010、新星出版社
4.済陽高穂:私のがんを治した毎日の献立、2010、講談社
5.松田麻美子:コリンキャンベル博士のThe China Studyの訳本:葬られた第Uのマクガバン報告、2011、クスコー出版

6.ケリー・ターナー:がんが自然に治る生き方、2015、プレジデント社

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